先日、音響設計を担当させて頂いた音楽サロン La Campanella (ラ カンパネラ)での演奏会に伺いました。Salon La Campanelleは大阪の天満橋駅からほど近い大手通に今春オープンした50席のラグジュアリーな音楽サロンです。

 

 サロンの内観
 

ヨーロッパの住宅の一室でプライベートにリラックスして音楽を楽しむ、そんな感じにしたいというオーナーのご要望に沿って音響設計しました。クラシックな雰囲気を壊さないようにしながら部屋の形を工夫し、天井を出来るだけ高く確保して音響を整えました。梁の凹凸や鏡や絵画などの装飾品も音を散乱させる要素に活用しています。

 

 ピアノから客席の内観
 

50脚の椅子はサロンにマッチしたデザインに加え、座ると分かる肘掛のカーブが絶妙でとても座り心地のよいオーナーこだわりの特注品です。

そしてピアノはスタインウェイの1969年ハンブルグ製B211。象牙鍵盤でスタインウェイ黄金時代の完全オリジナルとのことです。

 

 入手困難な貴重なピアノ
 

演奏会はオープンを記念して周辺の方々を招待されたもので、6人の若手演奏家によるピアノとフルートのソロと声楽三重奏を楽しみました。

小さい空間で演奏者の間近かで聞くサロン・コンサートは、楽器の音や歌手の声が情感と共にダイレクトに届きます。時にアットホームにリラックスして、また時に演奏者の情感に引き込まれて緊張して。演奏者と聴衆の一体感や親密感を強く感じながら聞くサロン・コンサートはコンサートホールとはまた違う楽しみが味わえます。

 

 演奏の様子
 

 こちらは別のコンサートの模様(サロン提供)
 

La Campanellaでは今後サロンレンタルだけでなく様々なコンサートも企画していかれるそうです。大阪で雰囲気と音響の良い音楽サロンをお探しの方はぜひ一度お訪ねください。沢山の演奏家と観客の方々にお出で頂き、多くの感動がここで生まれることを期待しています。

 

音楽サロン・ギャラリー La Campanella

http://la-campanella.jp/

 

 

なお、La Campanellaには素敵なレンタルギャラリーも併設されています。演奏会当日も個展が行われていました。

 

 Gallery La Campanella
 

4月29日、建築音響・電気音響ともに設計させて頂いたインマヌエル船橋キリスト教会(千葉県船橋市)の新会堂の献堂式に出席しました。

 

 新会堂の内観と献堂式の様子
 

この教会はもともとJR船橋駅の南口側にあった旧会堂が市の計画道路と重なったために北口側に移転して新築されたもので、新会堂はコミュニティー・チャペルと名付けられました。また計画道路と重ならず残った敷地にも集会機能をもつバイブル・センターが建設されました。

設計監理は、室伏次郎氏((株)スタジオアルテック代表取締役)と濱口光氏((同)ミタリ設計)で、構造設計はTIS&PARTNERS、設備設計はZO設計室です。

 

 コミュニティー・チャペルの外観
 

設計の初頭、当時の会堂で礼拝の見学と残響時間の測定をさせて頂きました。築50年を超える会堂はピアノと電子オルガンを備えながらも響きがとても短い会堂でしたが、大切に使われてきたことが見て取れました。また、とても印象に残ったのは、牧師のお説教が暖かく穏やかに囁きかけるような優しい音で聞こえていたことでした。この拡声の印象を新会堂にも引き継ぎたいと思いました。

 

 旧会堂の内観(2014年10月撮影)
 

[室内音響設計]

室伏氏による新会堂はコンクリート打ち放し仕上げで、天井高約8mの2層吹き抜け、両サイドと後部に2階席を備えた320席の空間でした。音響的にも以前と全く異なる響きの長い空間となるために最初は心配したのですが、室が不正形で音響的な問題のない形状だったことと、教会の方々が長い響きを好意的に考えていることから、電気音響による拡声が破たんしない範囲で響くように設計しました。具体的には、1階席の天井(2階席の底面にあたる部分)に有孔板を、2階席の側壁の一部(木ルーバーの一部)にグラスウール吸音材を配置しました。

 

 2階席から臨むチャペルの内観

 光の十字架が印象深い
 

 1階から2階側方を臨む
 

残響時間(500Hz)は空席時2.3秒、1階席に170名程度着席時1.6秒ですが、数値よりも響きが長く感じられます。会衆の方々からは讃美歌が豊かに響いて嬉しいとの声を多く頂きました。

 

[電気音響設計]

響きの長い空間のスピーカシステムというと、最近ではラインアレイ型スピーカが真っ先に思い浮かぶことと思います。ですが、旧会堂の暖かく囁きかけるような拡声音を新会堂にも引き継ぎたいと考えた時、音が遠くから飛び出してくるようなラインアレイ型スピーカの聞こえ方が私にはしっくりきませんでした。

 

 2階サイド席とスピーカ

(聖歌隊席なので集音マイクとモニタースピーカも備えています)
 

そこで、良質な小型のポイントソーススピーカ(Martin Audio社 DD6)を堂内に分散配置することにしました。分散配置によってスピーカと聴衆の距離を短くし、必要な音量を抑え、音質バランスの良い音のまま聴衆に届ける計画です。幸いにも室伏氏がスピーカの露出設置を認めて下さったので、音響的に良い状態が実現できました。もちろん露出設置するからには取付金具が極力見えないようにするなど工夫しています。

 

 講壇側を横から臨む

(小さい黒四角が拡声用スピーカ。

 大きな黒四角は電子オルガン用スピーカ。)
 

音響調整を終え、不思議なくらいに素直なスピーカのお陰か、自分でもちょっと驚くほど良い感じに仕上がりました。マイクロホン、スピーカ、配置、空間の形と材質など様々な条件が上手くバランスしたようです。

 

オルガンと讃美歌が豊かに響くなかで、説教の言葉は近くの相手に囁きかけるように優しく聞こえるように。献堂式での拡声を聞いて、その意図が実現できたと嬉しく思いました。また、その音は室伏氏のとても趣のある建築空間とも上手く融合したように思います。

 

[バイブル・センター]

南口側のバイブル・センターは2階に集会室があります。こちらもコンクリート打ち放しで、室の前後がガラス張りです。響きが長くなることが予想されたので、天井の梁間に吸音材を配置し、壁の柱部分を音を散乱させる形状とし、後方窓に吸音性の縦ルーバーブラインドを備えて響きを調整しました。

 

 バイブル・センターの外観

 (教会提供)
 

音響設備は教会のご要望で移動式としました。コミュニティー・チャペルと同じスピーカとミキサーで統一を図っています。

 

 集会室の内観
 

コミュニティー・チャペルとバイブル・センターが多くの方々に長く親しまれていくことを期待しています。

 

今年のゴールデンウィークに音響設計を担当したライブホール「仙台ギグス」がオープンしました。仙台ギグスはスタンディングで最大1,560名、着席で最大816席と東北最大級となるライブホールで、仙台駅から市営地下鉄東西線で約15分の東の終点 荒井駅から徒歩1分の場所にあります。

 

 仙台ギグスの外観
 

仙台ギグスの音響設計コンセプト「リアクション

 

ポピュラー音楽を主体とするライブホールやライブハウスの多くは、響きを含む音響効果はサウンドシステムで創るのでホールの響きは無い方が良いという考え方が一般的で、壁や天井が全面的に吸音処理されています。サウンドシステムの音質を劣化させる余計な反射音や残響音を抑制するためにも吸音が必要なことは確かです。

 

しかしライブではサウンドシステムを通らない音も重要ではないでしょうか。それは、観客の歓声や拍手。ライブならではの音です。歓声や拍手が湧き上がるように大きく響けばアーティストも観客も盛り上がります。自分たちのパフォーマンスに対する観客の反応が大きく感じられれば、それはアーティストのエネルギーとなってさらに素晴らしいパフォーマンスを引き出し、より大きな感動へとつながる事でしょう。これは多くのライブ・ファンに共感頂けることと思います。

 

 レセプションパーティの様子

仙台ギグスでは、そんなライブのもう一つの重要な音を吸音してしまうのではなく、積極的にステージ上のアーティストに届けようと考えました。もちろんサウンドシステムの音を阻害する反射音は低減しながらです。

 

その一見矛盾することの解決を試みたのが側壁の屏風折れのパネルです。パネルの舞台側の面は吸音仕上げにして舞台両脇のスピーカからの音は吸音し、客席側の面を反射仕上げにして観客の歓声や拍手を舞台へ向けて反射させるようにしました。

 

 1階席からの内観
 

加えて、天井面も客席からステージへ音を届かせるのに有効な範囲は反射性とし、それ以外の部分で吸音しています。

 

結果として仙台ギグスは他のライブホールよりも響きがやや長めになっています。といっても客入り後には気付かない程度です。

この適度な響きは生音と同様にサウンドシステムの音も豊かにし、音量感をアップする効果も得られます。直接音を邪魔しないようにコントロールすることで、響きをサウンドシステムにもプラスになるようにしました。

 

また、アーティストにとっても、自分の歌声や演奏音が会場の奥まで届いているという手ごたえが感じられやすく、安心できるのではないかと思います。

 

 2階席から舞台を臨む
 

その他にも次のような音響的配慮をしています。

 

・反射面で響きを残す一方で、スピーカの音を受け止める後壁面は30cm厚の吸音面を設けて低音までしっかりと吸音を図りました。

 

・側壁の屏風折れによって側壁間の平行を崩し、天井を屋根勾配に合せて傾斜させることで床〜天井間の平行を崩し、定在波の低減を図りました。

 

・パフォーマンスに対して音量制限を不要とするために徹底した防音対策を行いました。

 

このように仙台ギグスでは、サウンドシステムへの配慮はもちろん、観客と会場の「リアクション」にも着目しアーティストとオーディエンスが共に盛り上がれる音響空間を目指しました。

 

 1階後方のPAブースと後壁
 

仙台ギグスのスピーカシステムには d&b audiotechnik社の大型ラインアレイに超大型サブウーハが採用されています。この超大型サブウーハが常設されるのは仙台ギグスが最初のホールとのことで、このシステムも必聴ものです。

 

夏以降、様々なアーティストのライブがブッキングされ始めてきました。これから多くのパフォーマンスが繰り広げられ、アーティストやオーディエンスが仙台ギグスをどんな風に感じるのか楽しみです。

 

最後に、全国各地の大型ライブホールが東京などの大手企業資本なのに対して、仙台ギグスは”地元資本”であることをお知らせしたく思います。そんなライブホール「仙台ギグス」が多くのアーティストとオーディエンスそして地元の方々に愛される施設になることを心より願っています。

 

仙台ギグス

https://www.sendaigigs.com/

 

日本耐震天井施工協同組合が主催、全国公立文化施設協会(公文協)が共催する「文化施設等の天井耐震化対策研究会ー劇場/映画館/ホール/展示場/公共文化施設ー」が7月4日〜10月11日に渡り全国各地で開催されます。

 

一般施設と異なり、文化施設では音響や遮音をはじめ様々な機能の維持と耐震化の両立が求められます。その辺について法的な解説や実例などの紹介が期待され、私も参加する予定です。

 

札幌、仙台、東京(2回のうち1回)が過ぎてしまいましたが残り14回はまだ参加可能です。興味のある方は日本耐震天井施工協同組合のHPから詳細を確認の上、お申込みください。

 

開催概要

https://jacca.eventcreate.net/event/1583

 

日本耐震天井施工協同組合HP(申し込み)

http://jacca.or.jp/

 1/30〜31の2日間、東京都杉並区の座・高円寺にてJATETフォーラム2016/17が開催されました。音響部会は初っ端で「劇場等演出空間におけるオーディオ・ネットワークの現状」についてセミナーがありました。

 

 座・高円寺

(建築設計:伊東豊雄建築設計事務所、音響設計:永田音響設計)
 

 講演は次の3件でした。

 

・ネットワークオーディオ伝送(Audio over Internet Protocol):栗山譲二氏(J.TESORI)

 

 栗山氏からはAoIPの概要説明がありました。そのなかで音声伝送に重要な同期方法についてAoIPのほとんどがPTP(Precision Time Protocol)という方法を採用していること、そしてそのPTPパケットを優先的に送信するためにスイッチにはQoS機能(Quality of Service)が必要とのことでした。QoS機能がないスイッチでは一見問題なく動作しているように見える場合があるが、いつネットワーク障害が起きてもおかしくない状況との説明は重要な情報でした。

 

・ネットワークオーディオで使うケーブルとスイッチについて:阿部春雄氏(デジコム)

 

 阿部氏からはネットワークを構成するハードウェア(ケーブルとスイッチ)について解説がありました。接続に使用するEthernetケーブル(ツイストペア線)では、ケーブルを無理に曲げるとその個所でインピーダンスが変化し反射減衰が発生することや、Danteではスイッチの配置によってレイテンシーが何倍も変ることの説明がありました。また、Dante用スイッチに必要な機能の説明のなかで、省電力機能(Energy Efficient Ethernet = EEE機能)が無効にできることが必要との話もありました。

 

・音声伝送ネットワークの構築、運用、知っておきたいことなど。:菊地智彦氏(ヤマハサウンドシステム)

 

 菊地氏からはネットワーク構築の際に経験するリスクと現状考えられる対策方法について、実際の現場での経験をもとにした解説がありました。接続が自由になる<>なんでも接続できてしまう、配線コストが削減できる<>大量の情報が1回線に集中する、様々な通信が単一のインフラに乗る<>通信の競合が発生する、など現場視点ならではのメリットとデメリットが紹介されました。なかでも、PCをネットワークに繋げばどこからでも操作可能<>外部オペレータが持ち込んだPCでも固定設備が操作できてしまう、というセキュリティ上の問題についてはハッとさせられました。

 

 セミナー会場の様子


 

 3人の講師が共通して強調していたのは、「オーディオネットワークの安定性は”スイッチ”が握っている」でした。安価なスイッチは上記の必要機能が無かったり、それを設定・制御できないから安価とのことです。固定設備では通常10年〜20年というスパンで安定して動作するように考えなければなりません。これでオーディオネットワーク用のスイッチにどうして安価なものを使用してはダメなのかきちんと自信を持って説明ができます。

 

 また、1日目の最後に各部会を迎えてシンポジウムがありました。そのなかで、栗山氏がとても重要なことを話されていました。それは、

 

・AoIPはコンピュータ技術を中心につくられた規格をベースにしているので、ややこしくても受け入れるしかない

・自分でできなければオーディオネットワーク専門の部門やスタッフを作ったらよい。(音響家がオーディオネットワークを学んで身に着ける、または、ネットワーク技術者に音響を学ばせる)

 

 後者はサウンドシステムのオペレータに対するシステムチューナーと考えれば分かり易いですね。実際にネットワーク専門部門を構えている会社もありますし、今後益々ニーズは高まりそうです。

 

 シンポジウムの様子
 

 オーディオネットワークはもはや避けては通れないものでしょう。その向き合い方を改めて学ぶ良い機会でした。

 

 1/23に長野県舞台技術者協会2017研修会(長野県公立文化施設協議会技術研修会 共催)で講演させていただきました。

 会場は2016年1月に開館した飯山市文化交流館「なちゅら」(建築設計:隈研吾建築都市設計事務所、音響設計:永田音響設計)で、私が舞台音響設備についてお手伝いさせた頂いた施設です。当日は大雪となり、施設はすっかり雪に包まれていました。

 

 雪中の飯山市文化交流館
 

 講演のタイトルは協会の要望により「劇場の音〜建築音響と電気音響〜」となりました。様々なホール・劇場が建設されるなかで、施設の性格付け(多目的ホール、音楽主目的、演劇主目的、など)がどのような経緯で決まり、残響時間に代表される建築音響の条件がどのように計画され建築設計に反映されるのか、さらにその残響(建築音響)と電気音響はどのように兼ね合いが取られるのか、ということを知りたいということでした。

 

 公共ホールの多くは施設が完成した後に施設を監理運営する舞台技術会社が募集され決まります。そのため施設の設計コンセプトや計画経緯などが舞台技術者サイドに伝えられる機会がないという現状があります。今回の講演内容の要望もそこに起因していると分かります。これまで多くの公共ホール建設に係った経験をもとに、建築設計と音響設計の流れをできるだけ分かり易くお話ししました。

 

 講演会場(多目的ルーム1)の様子
 

 講演の後は施設の大ホールの見学がありました。(残念ながら小ホールは利用中で見学できませんでした。)大ホールは可動観覧席を備えた500席で、舞台幕から音響反射板に転換できる多目的ホールです。可動観覧席を収納して客席前迫を上げることで平土間形式にもなります。

 

 施設の方から、高齢者が多い合唱団の練習利用の際には、舞台から客席への移動時に階段を昇降するのが大変ということで、客席前迫を上げて平土間位置とし、舞台と客席を段差ない状態にして利用しているとの紹介がありました。客席前迫があるとそのような使い方もできるのだと気付かせてくれました。

 

 大ホール見学の様子

(客席前迫が上がっている状態)
 

 今回、私自身も建設に関わった施設の運営の方とはじめてお会いしお話しできて、とても有意義な機会でした。今後も現場からのフィードバックを沢山得たいと思います。

 

 昨年末にシルク ド ソレイユのトーテムの名古屋公演を見ました。

 

 ナゴヤドーム隣のテント会場
 

 間近で見る人間業とは思えない生演技に感動です。そして音楽はバンドによる生演奏。これはミュージカルなども含めて欧米では当たり前ですね。日本も見習いたいものです。生演奏だと主舞台のパフォーマーの演技と呼応して高揚していく感動があります。これは残念ながら音楽再生では得られません。


 公演の途中で客席の照明が不自然に点滅したので変だなと思っていたら、パフォーマーがスッと退場して一時中断。やはり点滅照明はパフォーマーへの合図だったようです。そして「演技を中断しました。まもなく再開しますのでしばらくお待ちください。」とアナウンス。これも開演前の諸注意のアナウンスと同じ声、同じ語り口のものなので、事前に準備されているものでした。

 

 中断から5分位で、先ほど始めかけた演技は中止しその次の演技から再開されました。さすがなのは中断の際のパフォーマーの行動がきちんと決められていることです。サーカスですから不測の事態はつきものでしょう。当たり前の事態に抜かりなく備える、って当たり前に大事なことですね。偶然このような出来事を見て、そこまでがプロの仕事だと改めて感じます。

 

 さて音響的なところでは、メインスピーカはd&b audiotechnikのTシリーズのラインアレイで、分散スピーカに同社のEシリーズが沢山使われていました。

 

 最後に、客席は撮影出来ないのでロビーのテントの天井の写真を載せます。だって排煙口がちゃんと付いてるんですよ!備えあれば憂いなし。

 

 ホワイエのテント屋根
 

 排煙口
 

 先日、天気がいいので散歩していたら球形スピーカを発見しました。

 

 アーケードの屋根下に丸い物体
 

 赤道の南半球側にホーンが並ぶ
 

 球体の赤道の南半球側にホーンが並んでいて360°全方向に音を放射するようになっています。ホーンが南半球側にあるので音を斜め下向き放射していると考えられます。吊下げて使うためですね。大分前にカタログで見たことはありましたが、実際に使われているのを見るのは初めてでした。結構年季が入っていましたがBGMを綺麗に鳴らしていました。

 

 そういえば以前、別の公園でこんな形の全方向スピーカを見かけたことがありました。

 

 木陰にあった変った形のスピーカ
 

 こちらは下向きにしたホーンスピーカにもう一つホーン状の部品を差し込んで音の進行方向を90°曲げ、水平360°全方向に拡がるようにしたものと想像されます。音は斜め下ではなく水平方向に拡がるように設計されているようです。ということは非常用でしょうか。残念ながら(?)これは鳴っていませんでした。

 

 こんなところに目が行くのはまさに職業病でしょう。でも見つけると意外に楽しいものです。皆さんも良かったらどうぞ。笑

 

 InterBEEでは昨年2016年も最新スピーカのデモが開催されました。会場のイベントホールでは、最新スピーカたちのデモを当時の最新スピーカが天井から静かに見守っていました。

 

 天井のセンタークラスタースピーカ
 

 当時の最新スピーカ
 

 「どれ位の人がこれを見るかなあ。高域ホーンの大きさ、低域ユニットもホーンロード、その数と配置を見ると、どれだけ真面目に計画していたかが分かります。今はどうだろうか?」と何気なくFacebookに投稿したところ、思いもよらずいろいろな方からコメントが入りました。

 

「高音域ホーンでエリアをカバーし、低音域を付け足すシステム。低音域と言ってもホーンロードがかかるのはせいぜい200Hz以上、ホーンロードがかかって能率が上がった分、その下の帯域は聞きにくくなる。おまけに低音域SPが引っ込んでいる分ホーン帯域とのつながりが悪い。このシステムが有効なのは英語圏の言語と思います。日本語はもっと低音域から造っていかないと。かつて苦労させられました。」(T.U.氏)

 

「私も同じ思いで見てました。何と言っても自分の原点ですから。」(A.M.氏)

 

「私も納入させて頂いた頃を、天井見て想い出しておりました。」(M.T.氏)

 

「苦労したんですよ、当事者なもんで。これ施工した時期はまだ手描きの時代です。ホーンは全て計算上同心点から振り出しています。構造物は野田市の鉄鋼屋さんで作ってもらい、細かいパーツは横浜和田町の金物屋さんで作ってもらいました。構造計算もしっかり行ってますよ。当然僕なんかが行ったら信用されませんから、一級建築士さんにお願いしました。ちゃんと計算書を提出しました。」(K.M.氏)

 

「単なる三面図もノイローゼになりそうになりながら紙と格闘してた時代でしたな(遠い目)」(H.N.氏)

 

「私も見上げてました。これを今のデジタルチャンデバでSmaartで判った人がチューニングすると最高です(≧∇≦)」(H.I.氏)

 

 当時の最新スピーカには多くの方が関わり、多くの思いが詰まっていました。

 

 通常の映画館の音響クオリティとは一線を画す「極上音響」「極上爆音」上映で話題の立川シネマシティで、ようやく極上音響上映を体験しました。

 

  立川シネマシティの「極上音響」は、スクリーンの音響設備をベテランの音響家(サウンドシステム・チューナー)によって上映作品ひとつひとつに最適な音響調整を施した上映です。「極上爆音」はさらに重低音を中心に通常よりも音量を大きめに再生した迫力重視の上映。作品の音響効果を最大限に引き出し、作品への没入感と感情移入をより高めようとする立川独自の取り組みです。どんなに素晴らしい食材でも、それを素晴らしい料理にするにはシェフが重要なのです。

 

 Meyer Sound社のスピーカシステムが導入されたスクリーン
 

 作品は「君の名は。」を。あえてアニメーションを選んでみました。

 

 印象は、映画に作り込まれた音の全てが再現されているように感じました。声に込められた感情に加えて、音による空間の広がりと奥行きの表現、そしてそれとリンクした映像のフォーカスとボケ具合、それらが不思議なリアリティを作り出していきます。また、このタイミングでこの曲がこの音量でカットインするのか、という演出にくすぐられます。映画に込められた楽しみを余すことなく感じられ、監督や制作者はこういう絵と音で観客を楽しませ感動させようとしていたんだと気づきます。

 

 最近、映像と音のコラボレーションを売り文句にしたエンターテイメントがもてはやされていますが、もっと前から映画はそれをやっていたのです。が、それを十分に再現出来る映画館が無かったのでは?とつくづく思います。日本のアニメーションは特に素晴らしく作り込まれています。今回それを再認識しました。かねてから映画館の音に疑問だったので、立川のような映画館がもっと沢山できないと折角の作品の感動が伝わりきらずもったいない!と強く思います。

 

 ちなみに別の機会には極上爆音上映でこの映画も楽しみました。

 

  
 

※極上音響のスケジュールについては是非映画館のHPをチェック下さい。

 http://cinemacity.co.jp/