昨年末にシルク ド ソレイユのトーテムの名古屋公演を見ました。

 

 ナゴヤドーム隣のテント会場
 

 間近で見る人間業とは思えない生演技に感動です。そして音楽はバンドによる生演奏。これはミュージカルなども含めて欧米では当たり前ですね。日本も見習いたいものです。生演奏だと主舞台のパフォーマーの演技と呼応して高揚していく感動があります。これは残念ながら音楽再生では得られません。


 公演の途中で客席の照明が不自然に点滅したので変だなと思っていたら、パフォーマーがスッと退場して一時中断。やはり点滅照明はパフォーマーへの合図だったようです。そして「演技を中断しました。まもなく再開しますのでしばらくお待ちください。」とアナウンス。これも開演前の諸注意のアナウンスと同じ声、同じ語り口のものなので、事前に準備されているものでした。

 

 中断から5分位で、先ほど始めかけた演技は中止しその次の演技から再開されました。さすがなのは中断の際のパフォーマーの行動がきちんと決められていることです。サーカスですから不測の事態はつきものでしょう。当たり前の事態に抜かりなく備える、って当たり前に大事なことですね。偶然このような出来事を見て、そこまでがプロの仕事だと改めて感じます。

 

 さて音響的なところでは、メインスピーカはd&b audiotechnikのTシリーズのラインアレイで、分散スピーカに同社のEシリーズが沢山使われていました。

 

 最後に、客席は撮影出来ないのでロビーのテントの天井の写真を載せます。だって排煙口がちゃんと付いてるんですよ!備えあれば憂いなし。

 

 ホワイエのテント屋根
 

 排煙口
 

 通常の映画館の音響クオリティとは一線を画す「極上音響」「極上爆音」上映で話題の立川シネマシティで、ようやく極上音響上映を体験しました。

 

  立川シネマシティの「極上音響」は、スクリーンの音響設備をベテランの音響家(サウンドシステム・チューナー)によって上映作品ひとつひとつに最適な音響調整を施した上映です。「極上爆音」はさらに重低音を中心に通常よりも音量を大きめに再生した迫力重視の上映。作品の音響効果を最大限に引き出し、作品への没入感と感情移入をより高めようとする立川独自の取り組みです。どんなに素晴らしい食材でも、それを素晴らしい料理にするにはシェフが重要なのです。

 

 Meyer Sound社のスピーカシステムが導入されたスクリーン
 

 作品は「君の名は。」を。あえてアニメーションを選んでみました。

 

 印象は、映画に作り込まれた音の全てが再現されているように感じました。声に込められた感情に加えて、音による空間の広がりと奥行きの表現、そしてそれとリンクした映像のフォーカスとボケ具合、それらが不思議なリアリティを作り出していきます。また、このタイミングでこの曲がこの音量でカットインするのか、という演出にくすぐられます。映画に込められた楽しみを余すことなく感じられ、監督や制作者はこういう絵と音で観客を楽しませ感動させようとしていたんだと気づきます。

 

 最近、映像と音のコラボレーションを売り文句にしたエンターテイメントがもてはやされていますが、もっと前から映画はそれをやっていたのです。が、それを十分に再現出来る映画館が無かったのでは?とつくづく思います。日本のアニメーションは特に素晴らしく作り込まれています。今回それを再認識しました。かねてから映画館の音に疑問だったので、立川のような映画館がもっと沢山できないと折角の作品の感動が伝わりきらずもったいない!と強く思います。

 

 ちなみに別の機会には極上爆音上映でこの映画も楽しみました。

 

  
 

※極上音響のスケジュールについては是非映画館のHPをチェック下さい。

 http://cinemacity.co.jp/

 昨秋の雨上がりの午後、響きの豊かなチャペルでパイプオルガンとヴァイオリンという珍しい組合せの演奏を聴きました。会場は恵泉女学園大学のチャペル(東京都多摩市)で、演奏はオルガン:大塚直哉氏、ヴァイオリン:桐山建志氏です。

 

 プログラム
 

 客席後方2階のオルガンからは、感情を強く内に抱えつつも離れた舞台で演奏するヴァイオリンを支えるように自制のきいた音が漂います。そしてオルガンの音の上を華やかに踊るように舞台からヴァイオリンの音色が響きます。
 2つの楽器の距離と位置が立体感とコントラストを生み、今そこで生で演奏されているという臨場感と緊張感が心を刺激します。

 

 客席後方2階のパイプオルガン

 ライル兄弟オルガン製作所(オランダ)

 2002年完成、21ストップ
 

今ここでしか体験できない音楽を堪能しました。

 

 昨年9月のことになりますが、SCアライアンス社の50周年記念パーティーに出席させて頂きました。

 

 会場の様子
 

 来賓の方々の挨拶で、「電気音響の導入で、それまで出来なかったあんな表現やこんな演出ができるようになった」と当時のワクワクな思い出を語られるのを聞いて、今それが当たり前の時代だからこそ、元の生音や肉声という素材そのものとそこに込められている感情や表現を改めて見つめて学ぶことが大切なのだと感じます。

 

 芝居の音響効果に始まったSCAだからこそ、出したい音や表現のイメージを持っているからこそ、成功されてきたように思います。

 

 創業者の八幡氏と歴代代表の方々 
 

 また、「良い機材を山ほど積んでも意味はなく、人材を育てることが大事だ」という祝辞にも強く同感です。パーティーに先だって開催されたBob McCarthy氏のセミナーにも共通点を感じます。

 

 スタッフロール
 

 勝手ながら有意義な時間をありがとうございました。50周年おめでとうございます。

 

もう10ヶ月も前の今年の年明けのことになりますが、和太鼓奏者 林 英哲さんの演奏会を世田谷パブリックシアターで聴きました。

最近、身の回りで薄れ気味に感じる日本的なもの・・・和楽器の音、そして日本人らしい心・精神、ストイックな力などに溢れていて、沁みます。

英哲音楽会

忘れていたものを思い出した、そんな感じになりました。
恵泉女学園大学(東京都町田市)のチャペルでのパイプオルガンコンサートに来ました。



今回の演奏はミューザ川崎シンフォニーホール・オルガニストの近藤 岳さんです。
普段あまり演奏されることがなさそうな楽曲が多くあり楽しめました。オルガンに近い席にいたため音量が大きめでしたが、幸いきつくは感じませんでした。(写真は座った席から撮ったものです)



演奏前に近藤さんがワイヤレスマイクを使って簡単にお話しをされました。

チャペルの音響設備は昨年から私が音響設備のメンテナンスを担当していて、声がスカスカにならないように中低音を適度に残すチューニングにしてありますが、男性の近藤さんがオンマイクで話すとチョット中低音が残っていました。ただ、聞きとりにくい程ではありません。

ノンオペで使う施設の場合は近接効果の少ないマイクを積極的にチョイスするべきかなと考えました。

恵泉女学園大学チャペルのオルガン奉献10周年記念コンサートに伺いました。

演奏はヴォルフガング・ツェラー氏。
空間の静寂さが感じ
られる音量と優しい音色で彩られた、素晴らしい演奏でした。

恵泉2 恵泉1

ここのオルガンはライル社製で、以前私が関わった信濃町教会と同じです。
そしてなんとスピーカもFPS
製パイプラインで一緒なんです。
不思議な縁を感じます。

恵泉女学園大学チャペルでは定期的にオルガンの演奏会を催しています。
興味のある方は下記の大学HPをご覧ください。

http://www.keisen.ac.jp/institution/christianity/concert/
 
※写真は春にメンテ・調整に伺った時のものです。

気が付けば2ヶ月ぶりの更新です。

久しぶりに聴きながらワクワクするコンサートに巡り会いました。9月28日(水)、ピアニスト清水和音さんのデビュー30周年記念5日連続コンサートの初日です。会場は銀座のヤマハホール、ゲストは小曽根真さんです。

ヤマハホール外観 つややかできらびやかなヤマハホールの外観

パンフレットには、
 モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ ニ短調 K.448
 ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(2台ピアノ版)  ほか
とだけ。
この2曲も良かったのですが、それでも、今夜のメインは 「ほか」 にありました。

前半の2曲目には、クラシックピアニストがジャズピアニストに仕掛けた「トルコ行進曲」、後半の2曲目は、清水和音がアドリブに挑んだチック・コリアの「クリスタル・サイレンス」、そしてアンコールは、アドリブをさせた仕返し(?)だというラフマニノフのワルツと、会場からの飛び入りを加えて再び「トルコ行進曲」。

とにかく予想もしない展開と演奏に、久しぶりにワクワクしたコンサートでした。パッケージされたものには記録されない、音楽がまさに今紡がれていくその瞬間の、その場にいる人だけが共有できるこの空気、緊張、期待・・・。やっぱり「ライブ」っていい。

今夜ここでしか聴けない素晴らしいパフォーマンス、最高のコンサートでした!!

ipodなどで気軽に、何かのついでに音楽を聞くのも悪いとは言いませんが、音楽を聴くことに集中するというか、音楽を聴くことを主役にする時間をもっと楽しんでもらいたいと思います。

ヤマハホール内観 終演後のヤマハホール

会場のヤマハホールは、2010年春に新ヤマハ銀座ビルとともにリニューアル・オープンしたコンサートホールです。縦長のプロポーションと側壁のデザインが特徴的な333席のコンサートホールで、音響設計はヤマハ株式会社です。舞台上部の空間に余裕があるので、清水さんと小曽根さんが2人して力一杯鍵盤を弾いても、飽和せずきれいに響いていました。くせのない、奥ゆかしい響きという印象です。

ひとつ残念だったのは、開演前の携帯電話の注意や終演を告げるアナウンスの音量がビックリするほど大きかったことです。始まる前の期待感と終演直後の余韻を妨げないような配慮が欲しかったです。

先日(7/6水)、東京フィルハーモニー交響楽団の東京オペラシティ定期に行ってきました。
指揮は大植英次氏で、曲目は以下のとおりです。

 小倉 朗  : 管弦楽のため舞踊組曲
 モーツァルト: ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595, ピアノ:小曽根 真
  −休憩−
 ブラームス   : 交響曲第1番 ハ短調 作品68

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今回のお目当ては小曽根真さんです。はたしてジャズ・ピアニストが弾くクラシックはいかに...? ヤマハのピアノとも相まって、思っていたより軽やかでした。ところが、アンコールでビル・エヴァンスを弾き始めると、同じピアニストと同じピアノとは思えないほど感情も音も豊かになったのがとても印象的でした。小曽根真さんのビル・エヴァンスをコンサートホールで聴く、最高です!

タケミツメモリアルに来るのは本当に久しぶりでした。ピラミッド状の天井が特徴的なコンサートホールで、よく響いて、その響きの立ち上がりが早いという印象があります。センシティブなので演奏音量のコントロールが重要になりそうです。音響設計は、竹中工務店技術研究所+Leo L. Beranek 氏です。

大植英次さん指揮の演奏は迫力があって、会場は拍手が鳴り止まず大盛り上がりでした。
東京フィルハーモニー交響楽団は今年で創立100周年を迎えるそうです。おめでとうございます!

 JR八王子駅南口に先月オープンした八王子市の新しい市民会館、「オリンパスホール八王子」に行きました。コンサートは、西本智実+マルク・ゴレンシュタイン指揮、 ロシア国立交響楽団です。

 

八王子300


このホールは2000人収容の大型ホールですが、非常にコンパクトに納まっていて舞台が近く感じられます。実際、私は3階席の4列目の席でしたが、舞台が遠いという感じは全くありませんでした。

音は低音が良く出てきて、厚みのあるしっかりとした響きという印象で、とても心地よかったです。オケとホールの響きがすごくマッチしていたように思え、ロシア響だからか分かりませんが、日本のホールらしくない響きとも感じました。音響設計は永田音響設計です。

ホールの芸術監督でもある西本さんに送られた盛大な拍手からは、市民の方々の期待が伺えます。

クラシックに限らず、ポップスやミュージカルなどにも十分対応できるホールですので、今後のイベントが楽しみです。

是非一度足を運んでみてください。

 

 

 

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