ホール等のスピーカシステムの改修計画の際は、スピーカだけでなく前面パネルの改修も忘れてはなりません。
 

ホール等でスピーカが収納されている部分の開口(前面パネル)は、音を透過するクロスで仕上げられているものの、クロスを張る木枠を補強するための太い下地材も結構あると思います。

 

iPhoneImage.png 改修前のプロセニアムスピーカ開口部の例

 (壁の裏側から見る)

 右側の黒い箱がスピーカ(ウーハユニット)

 
 

iPhoneImage.png 同サイドスピーカ開口部の例

 右側のグレーのものがスピーカ(ホーンユニット)

 

 
 

改修が計画されるホールのスピーカシステムは、ほとんどが20〜30年前のポイントソースタイプと思われます。
このタイプのスピーカは音を発する位置が点状なので、特に高音を発するホーン部分の前にさえ邪魔物が無ければ、致命的な音質の劣化は避けられます。

ところが、最近主流のラインアレイタイプのスピーカは、高音を発する部分が線状になっていて、かつそれを延長するように複数のスピーカを連結して用います。連結したスピーカの上から下まで切れ目なく発音部が連続する事で、ラインアレイタイプの特徴である鋭い指向性や遠達性が得られるのです。

と言う事は、ラインアレイタイプのスピーカに更新しても、開口部の下地材が以前のままでは、以前に増して客席に格子状の音の影ができ障害となってしまいます。これではせっかくの改修も片手落ちと言わざるを得ません。

 

iPhoneImage.png 改修後のプロセニアムスピーカ開口部の例

 (上の写真と同じホール)

 右側の円弧上に連結された黒い箱がスピーカ

 (ラインアレイタイプ)

 

 縦桟を中止し、かつスピーカ前は横桟も細くしている

 
 

iPhoneImage.png 改修後のサイドスピーカ開口部の例

 (上の写真と同じホール)

 右側の円弧上に連結された黒い箱がスピーカ

 (ラインアレイタイプ)

 

 スピーカ前の桟を中止

 観客が触れられる位置のため、クロスを突き破らないようにワイヤーメッシュを入れている 
 

音響設備の改修ではとかく音響設備だけが注目されがちですが、実は音響的な品質は、音響設備だけでなく建築的な要素にも大きく影響されるのです。

 

スピーカ前面のクロスや桟以外に、スピーカ収納スペースの吸音が十分かどうかや、そもそもスピーカ用開口が客席全体へ音を届けるのに十分な寸法かどうかといった根本的な点もあります。

 

スピーカの改修計画の際には、新しいスピーカの能力を発揮させるためにも、スピーカ前面のパネルをはじめ建築的な部分についても忘れずに改修検討してください。

 

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