昨年の夏のことになりますが、設計・監理の手伝いをしていた体育館の音響設備改修工事が終わりました。残響が5秒くらいある厳しい建築音響条件での改修のアプローチは…

体育館(改修前) 改修前の体育館

改修前のスピーカは写真のように体育館の長辺壁の片側に4台設置されていました。旧式のトーンゾイレスピーカで、片側からアリーナ全体をカバーしていました。これだとスピーカと反対側のエリアでも聞こえるように大きな音量を出す必要があります。その音がアリーナ床→対向する壁→天井→スピーカ側の壁→アリーナ・・・と反射を繰り返して、余分な響きを発生してしまいます。

体育館1 改修後の体育館

そこで改修では、スピーカを当初の倍の8台に増やし、長辺壁の両側に設置してアリーナの半分ずつカバーするようにしました。1台のスピーカでカバーするエリアを狭くすることで、必要な音圧と余分なエリアへの音の入射を減らし、響きの発生をできる限り抑制する狙いです。
加えて当初は専用のスピーカがなかった短辺側の観客席へもスピーカを設置しました。

スピーカは全てTOA T-550を採用しました。60×60度という指向角度、手頃な25cmウーハ、明瞭な音質、取付金具も付属で安価、防球構造と、本件に最適でした。

体育館2

これだけ残響が長い場合、本来ならまずは建築的な吸音処理を行うことが必要なのですが、今回はそれができない改修でしたのでスピーカの計画が重要となりました。

スピーカに加えて、ワイヤレスマイク受信機のボリュームを控えめに設定し、マイクに入る空間の響きも少なくなるよう工夫しています。この空間の響きの影響が拡声には重要で、CDなどの録音ソースだけでの調整では不十分です。

そうそう、低予算でしたのでイコライザ内蔵のラックマウント型デジタルミキサーを使用したのですが、3バンドあると思っていた入力イコライザがhi, mid, lowとなっていて、設定できる周波数範囲が限定されていて、Qも固定だったのが誤算でした。思った周波数にイコライザを当てられず、HPFへの切替もなく…。取説まで目を通しておくべきでした。設備用のミキサーほど、もっと入力イコライザを充実してほしいと感じます。
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