1月28日〜29日に山形市民会館で開催されたFBSR会音響技術研修会に今年も参加しました。

毎年面白いネーミングのテーマですが、今年は「音響空間物語〜モノ(モノラル)からものがたり(空間創造)へ〜」というもので、音響空間が取り上げられました。

仮設音響反射板
 2日目の仮設音響反射板での実験の様子

PAも録音もモノラルから始まり、ステレオ、サラウンドと段々に音響空間を取り込み、表現しようと発展してきました。その歴史を尚美ミュージックカレッジの半田先生が、興味深いエピソードと貴重な音源の数々を織り交ぜて解説されました。

1日目はその他に、単に周波数特性をフラットにするのでなく感覚的な重みづけを考慮したスピーカチューニング法の紹介や、会場のプアーな音響をディレイスピーカを使って補強する実験などが行われました。

小ホール
 小ホールの様子。小ホールにはSSL、STUDER、DIGICO、ROLANDの
 録音ミキサーが集まりました。

2日目の最初はピアノ演奏を例に、会場の音響を建築的に改善していく方法の実験です。
ピアノを舞台幕の状態で演奏するところから、以下の様々な方法を追加していきました。
 1)舞台幕の状態
 2)仮設音響反射板を設置(Wenger社)
 3)脇花道の鳥屋口に反射板(衝立)を設置(ピアノに音を返すように)
 4)客席階段の蹴上を反射性に(板を立てかけた)
 5)仮設音響反射板をピアノから離す

いずれも薄会長が喜多方プラザの改修の際に実験、経験したものが元になっているそうです。2)でピアノの音量がUPしましたが、演奏者は客席の響きが聞こえやすくなり時に演奏しにくくなることもあるとのことでした。そこで3)は遅れ時間の短い反射音を追加したのです。モニタースピーカで音を返すのと同じ効果でピアニストは弾きやすくなったとコメントしました。PA技術者ならではの着眼点だなと感心しました。さらに4)は客席からの反射音をさらに追加しています。舞台から見ると階段の蹴上は合計すると見かけ上結構な面積になります。しかもピアノからの距離がバラバラなので単一エコーにならずに良い効果が得られます。ピアニストの方は音が気持ちよく聞こえるようになったとコメント。これにも感心させられました。日々現場にいる人ならではの発見だとつくづく思いました。

鳥屋口衝立
 鳥屋口に設置した衝立(赤丸)

客席階段蹴上反射





















 客席の階段蹴上に
 立てかけた板

また4)の実験の際にはその効果を実際に会場のインパルス応答を測定して比較しました。これは森本浪花音響計画の浪花さんと千葉さんが担当されました。インパルス応答波形や測定用の12面体スピーカになじみのない参加者の方は興味深く見ていました。

その他、ピアノと弦楽四重奏を対象に、ONマイクとOFFマイクでのPAの違いや、ディレイをかけた場合の演奏者の反応など、興味深い研修が行われました。

機材展示
 協力各社の機材展示の様子

毎年のことですが、本研修会は座学ではなく実際に音を聞く実験が中心の研修会で、とても興味深いです。しかもテーマがとても現場的で実践的なのが魅力です。また来年も参加したいと思います。
 
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