3/19に行われた日本音響学会の建築音響研究会(3月度)に出席して発表をしてきました。

会場は2012年8月オープンした静岡市清水文化会館「マリナート」です。
(PFI事業。建築設計:槇総合計画事務所+大成建設、音響設計:ヤマハ)

私はマリナートのとなりにある清水テルサ(2000年完成)を担当していましたが、当時は清水駅の東側に出口はありませんでした。様子が一変しているのに驚きました。

 会場の静岡市清水文化会館
 「マリナート」


前半は小ホールにて以下の発表がありました。

・スピーカの設置状況が再生周波数特性に与える影響について/内田匡哉(内田音響設計室)
・拡散音場は存在するか?/久野和宏
・NC曲線の拡張利用に関する検討/川上福司(Sound Concierge),寺園信一(アコー)
・静岡市清水文化会館マリナート −文化によるまちづくり−/福永知義(槇総合計画事務所)
・静岡市清水文化会館マリナートの音響設計/宮崎秀生(ヤマハ)


 研究発表の会場となった
 小ホール


研究発表のトップバッターは私でした。発表内容の概要は以下のとおりです。

「スピーカの設置状況が再生周波数特性に与える影響について」

ホールや劇場に音響設備のスピーカが設置される場合、その多くは建築意匠と一体となるように内装仕上げの中に設置され、前面には化粧パネル等が取り付けられます。建築意匠的には当然のことであり理解しますが、その状況によってはスピーカの再生音質に大きく影響を与えることがあります。これらは頻繁に経験することですが、その影響をデータとして示した例は多くありません。そこでスピーカの設置状況が再生周波数特性に与える影響について、いくつかの実ホールでの測定結果を紹介しました。

また、そのような周波数特性への影響はイコライザ装置によって電気的に除去できると思われがちですが、実際には影響を除去することはできません。なぜならイコライザによる音響調整は元信号に対して施すもので、影響によるレベル増加(あるいは低減)を考慮して予め元信号を低下(あるいは増加)しているからです。

つまりスピーカの設置環境によって生じた影響は電気的には除去できずに必ず残ります。よってスピーカの設置場所に対する建築面での音響的配慮が基本的なスピーカの再生音質を左右すると言えるので、十分な配慮が必要です。

というものです。興味のある方は資料がありますのでお問い合わせください。


 大ホールでの試聴の様子

 大ホールの客席側
 シーリング投光室をブリッジに
 して高い天井が確保されている


後半は施設見学に加えて、大ホールと小ホールのそれぞれでプロの演奏家によるピアノとチェロの演奏の試聴が行われました。

大ホールでは、低域までの反射音を得るために側壁の内装仕上げボードをコンクリート躯体に直貼りされたとのことで、それが響きに感じられるように思いました。また、空間を最大限に確保したことで得られた余裕ある響きを楽しみました。

 
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