先日、ドッジボール大会の応援に区立体育館へ行きました。

ここはたしか7〜8年前に、床とアリーナ階の壁を除いて、天井と観客席階の壁が全面有孔板に改修されました。

体育館1 体育館の内観。
 壁から天井の白い面がすべて有孔板(穴あき石膏ボード)です。
 青い筒状のものは空調ダクトです。

スピーカシステムも、ラインアレイ式スピーカがアリーナ面へのメインに採用され、観客席の通路上部にも16cm級ウーハと思われる余裕ある大きさの天井埋込型スピーカが多数設置され、アナウンスが非常によく聞き取れるようになりました。

体育館2 アリーナの壁に新設されたラインアレイ式のスピーカ(木の壁に設置された黒色で弓なりのもの)

体育館3 観客席通路の天井に埋め込まれたスピーカ
(四角い防球ガードがついているもの)
 スピーカ同士の間隔が近いことにも注目。
 有孔板も確認できます。

新築時からこれ位、音に気を使って欲しいものです。

吸音と落下防止改修

そしてこれに関連する最近の話題として、東日本大震災での天井材落下による被害を踏まえて促進されている耐震対策があります。
多くの施設で天井をはじめ落下の可能性がある部材を一切撤去する方法が採用されていますが、そこに注意が必要です。

この夏に私が相談を受けて伺った体育館は、当初ルーバー天井でその裏にグラスウール吸音材が敷き詰められていましたが、落下対策のためにグラスウールも含めた天井の一切を撤去し、露出した天井裏を壁はボード貼りし、屋根裏は綺麗に塗装していました。

・天井裏が露出したことで空間の容積が増えた
・グラスウール吸音材がなくなった
・多少の吸音性があった屋根裏材の木毛セメント板を塗装したことで吸音性が低下した

以上の3点が影響して、改修後の体育館の残響時間が約5秒!になっていました。

これは、2〜3mまでの距離なら肉声で会話ができますが、離れて声を張り上げて話すと響きが急に発生して会話に支障が生じはじめる程度です。それでもスポーツをするだけならまだ何とかなりますが、大会での挨拶や選手の呼出など音響設備を使用した際には非常に聞き取りにくく、同施設では大会運営に支障がでているとのことでした。

更にスピーカシステムの計画にも問題がありました。低予算のためか左右の観客席の上部に小型のスピーカが4台ずつしかなく、しかもそのスピーカがお互いにアリーナを挟んで反対側の観客席へ音を届けるように設置されていました。これでは各スピーカは対向する観客席まで届く大きな音量を出さなくてはならず、そんな向きにそんな音量を出したら残響だらけになって全く聞き取れない状況になるのは当然です。スピーカを設置する空間の響きのことなど全く考慮していない計画としか言えません。

現在は仮設のスピーカを使用して運用しているそうですが、根本的な解決にはなっていません。指定管理者は早急な改善を切望されていました。

いずれも改修計画時に音響のことを気にしていれば、ここまでの問題にならずに済んだはずです。このような問題が生じている施設が、潜在的に沢山あるように思います。
上記を参考にしていただき、是非、事前に音に対する配慮を検討して頂きたいと思います。
 
コメント
コメントする
トラックバック
この記事のトラックバックURL