下記リンクよりPDFのダウンロードが可能です。参考にしていただけたら幸いです。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/78/1/78_21/_article/-char/ja
]]>
□日 時: 2023年3月17日(金)10時00分 〜 16時30分(受付開始9時30分)
会 場: 千代田区内幸町ホール
参加費: 前売券/会員 3,000円、一般 5,000円、 学生 1,000円
当日件/会員 4,000円、一般 6,000円、 学生 1,000円
申込み: 要事前申し込み、事前入金
午前の部
10:00〜12:00
■シンポジウム『劇場メディアの拡張性』
〜新しい音声、映像伝送技術でどう拡張していくか〜
基調講演: キャメロン・オニール(NEPジャパン)
映像部会・音響部会共同研究 ST2110研究会発表:
平井哲史(TXAプランニング)、西村岩夫(ヤマハサウンドシステム)
パネルディスカッション:
伊藤正示(JATET会長、シアターワークショップ)
キャメロン・オニール(NEPジャパン)、石丸耕一(東京芸術劇場)、
平井哲史(TXAプランニング)、西村岩夫(ヤマハサウンドシステム)、
今成 歩(池上通信機)、内田匡哉(内田音響設計室)
午後の部
12:45〜13:15
■映像部会「劇場導入プロジェクションの要件について」
北村 剛(バルコ)、佐野龍一(バルコ)
13:20〜14:00
■音響部会「舞台連絡設備の管理と運用について」
内田匡哉(内田音響設計室)、河原田健児(新国立劇場)、橋崎立嗣(アセント)
14:05〜14:35
■機構部会「バトン形状の調査・研究について」
熊谷明人(世田谷パブリックシアター)、真井隆年(小林舞台システム)
14:40〜15:20
■照明部会「舞台照明に関わる電磁ノイズの影響について」
役野善道(パナソニック)
15:30〜16:30
■建築部会「地域文化施設の次代のキーワードを探る」
兒玉謙一郎(久米設計)、能勢修治(石本建築事務所)、岩永裕人(アールアイエー)
音響部会のセミナーは、昨年に引き続き劇場の舞台連絡設備について、設計、管理、運用に関する現状や課題を取り上げます。
詳細は、JATETフォーラム2022/23の特設ページ https://www.jatet.or.jp/forum/JF202223/ をご覧ください。皆様のご参加お待ちしております。
なお、2021年の舞台連絡設備アンケート調査の報告書はJATET音響部会のページ https://www.jatet.or.jp/tech/sound/で公開されていますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。
]]>
学会誌の表紙
この中で、当方が
「音声情報伝達の重要性が見落とされがちな施設の実情と対策−屋内スポーツ施設、学校の体育館を例に−」
と題して執筆させて頂きました。
内容は次のようになっています。
1. はじめに
2. 音声情報伝達の必要性
3. 音声情報伝達の阻害要因
3.1 残響過多
3.2 拡声設備の問題
3.3 人的要因
4. 建築的な対策
4.1 残響時間の目安
4.2 吸音処理
5. 拡声設備での対策
5.1 動作性能の目標値
5.2 マイクロホン
5.3 マイクロホン入力音声の補正
5.4 スピーカシステム計画
1) スピーカの配置
2) スピーカの指向性
3) アンプ〜スピーカの接続方式
4) 電気音響シミュレーション
5.5 スピーカ出力の音響調整
6. 新築、改修の実例
6.1 学校の体育館1(改善対策)
6.2 学校の体育館2(新築)
6.3 半屋外スポーツ施設(拡声設備の改修)
6.4 屋内プール(新築)
7. おわりに
本稿では、私自身も拡声の不明瞭さについて相談を受けることが多い学校の体育館と屋外スポーツ施設を例に、建築と音響設備の両面から、良好な音声情報伝達を確保するための要点と対策を整理しました。音に対する関係者に意識の問題にも触れています。また、6章では、学校の体育館とスポーツ施設について、新築と改修の最近の実例をそれぞれ1例ずつ紹介しました。
いずれも基本的な内容であり、例に取り上げた以外の様々な施設にも同様に適用できる項目が多いと考えます。
沢山の方にご覧いただき、多くの施設が良好な音声情報伝達が得られるようになることを期待しています。
内容詳細にご興味のある方は別刷り(PDF)をお分けしますので、info@uchida-acoustic.com までお気軽にご連絡ください。
]]>
チラシ
『演出空間における舞台技術の現状と展望』をテーマに、基調講演と技術系5部会(建築・機構・照明・音響・映像)による11本の有料オンラインセミナーがイープラス「Streaming+」で配信されます。
□配信期間: 2021年6月1日(火)10時 〜 30日(水)23時59分
視聴料金: 1コンテンツ:1,000円、全コンテンツ:5,000円
(いずれも期間中視聴可能)
■基調講演「JATETの30周年と創造型劇場の30年(創造型劇場の誕生と深化)」
第一部:企画・構想 / 第二部:設計・建設 / 第三部:開館から現在・未来へ
パネラー:佐藤 信(劇作家・演出家、座・高円寺芸術監督)、市来邦比古(舞台音響家)、桑谷哲男(office HIP BIRD主宰、公立劇場アドバイザー他)、斎藤 義(建築家)、熊谷明人(技術監督、世田谷パブリックシアター技術部長)、西 豊彦(JATET理事、ラムサ代表取締役)
■建築部会「新型コロナ禍で劇場の将来はどう変わるのか?最先端飛沫シミュレーションを用い予測する」
講師:織間正行(久米設計)、長谷川祥久(香山壽夫建築研究所)、小川清則(鹿島建設)、古橋 祐(昭和音楽大学)
協力:坪倉 誠(神戸大学教授)
■機構部会「保守時コロナ対策と吊物駆動装置の変遷」
講師:薮内信彦(三精テクノロジーズ)、佐々木智幸(不二装備工業)、浅野安通(三精テクノロジーズ)
■照明部会「最新照明卓の機能と将来への展望」
講師:加藤憲治(ライティングビッグワン)、八木崇晃(丸茂電機)、茅野邦宏(東芝ライテック)、役野善道(パナソニック)、加藤春輝(丸茂電機)
■音響部会「舞台連絡設備アンケート結果と考察」
第一部:イントロダクション、有線インカム、ワイヤレスインカム
第二部:映像モニター、音声モニター
第三部:トークバック、楽屋呼出、キューランプ、クロージングトーク
パネラー:石丸耕一(東京芸術劇場)、金子彰宏(兵庫県立芸術文化センター)、内田匡哉(内田音響設計室)
■映像部会「劇場・舞台映像の今後」
その1「NHKホールを題材に劇場音響映像設備の技術革新と将来を考える」
パネラー:小木曽圭一(NHKホール)、新井 清(元NHKアート)、為ケ谷秀一(元女子美術大学・大学院教授)、平井哲史(TXA Planning)
その2「スマートシティ構想における劇場の将来を考える」
講師:中村公洋(日建設計)、為ケ谷秀一(元女子美術大学・大学院教授)
音響部会のセミナーは、劇場などの舞台連絡設備について、昨年度までに全国の会館に対して行った実態アンケート調査の結果を報告するとともに、その結果をもとに東京芸術劇場の石丸耕一氏と兵庫県立芸術文化センターの金子彰宏氏に現場の声をお聞きしました。
3本に渡る大セミナーとなりましたが、石丸氏と金子氏からは舞台連絡設備のシステム設計や機器製造に関する大変貴重な現場の声が聞かれました。セミナーの進行を務めた私自身も大変勉強になりました。ぜひ多くの方にご覧いただきたいセミナーです。
詳細は、JATETフォーラム2020/21の特設ページ https://jf202021.jatet.or.jp をご覧ください。皆様のご参加お待ちしております。
なお、アンケート結果報告書がJATETのホームページ https://www.jatet.or.jp で公開されていますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。特に自由記述に現場の生の声が見られてとても勉強になります。
]]>
ホールの内観
(写真はすべてオープン時のもの)
このホールは、オーナーの垣内氏が自宅を新築する際に自宅の一部につくられたもので、ルツェルンのコンサートホールの雰囲気がお気に入りとのことから、白色を基調にしたデザインになりました。設計は(株)計画工房K's officeです。
舞台から客席を見る
音響設計については、ホールの1階部分の壁と天井は上下や左右に微妙に斜めにして平行を崩し、定在波やフラッターエコーなどの音響的マイナスを抑える一方で、2階部分の壁は逆に平行のままとして出来るだけ響くようにしています。小空間では人の吸音の影響が大きくなるので内装では一切吸音していません。天井が高くとれたこともあって、満席時でも気持ちのいい響きが感じられます。また、防音にも配慮しています。
FAZIOLI ピアノフォルティ
そしてホールのピアノはイタリア FAZIOLI 社のグランドピアノです。有名なこのピアノを一度は弾いてみたい、聞いてみたいと思われる方も多いことでしょう。
また、ホールの隣にピアノレッスン室があり、こちらの音響設計も担当させて頂きました。壁と天井を微妙に斜めにして不正形な室にすることと、低音から高音までバランスよく吸音するように工夫することで、音響を整えています。
ピアノレッスン室の内観
壁のクリーム色の部分と
天井の模様付きの部分が吸音材
2種類を組み合わせている
この日のコンサートは、3年前のオープニング公演でも演奏された前田妃奈さん(Vn)と、馬場彩乃さん(Pf)、そしてイギリスでバイオリンを学ばれている、オーナー家のご兄妹 垣内響太さん(Vn)、垣内絵実梨さん(Vn)。皆さん10代とは思えない素晴らしい演奏でした。
ちなみにCas'Applausiとは、イタリア語の拍手喝采(Applausi)と家(Casa)を合わせた造語とのことです。このホールがこれからも若い才能が羽ばたく場となり、拍手喝采で溢れることを期待しています。
会場の様子
実は全てHitaruの舞台上
写真のような下手側の端の席でしたが、イマーシブオーディオシステムの効果により、期待通りとても良く聞けました。
各楽器の音が、舞台の下手からドラム、ベース、ピアノの順に見たままの並びで聞こえます。特定の楽器が聞こえにくいということもありません。
また、演奏が盛り上がってきて各楽器が強く弾かれ音量が増しても、音が崩れずに解像度が保たれます。
従来のステレオシステムでは体験できない音だと感じます。
PA分野でのイマーシブオーディオシステムというと、音像を動かすことや残響を増やすことが注目されがちですが、私は上に述べた、
”見たままの位置から音が聞こえることにより全ての客席で音が自然に聞こえるようになる”
ことと、
”オーディオバス内での各信号の干渉の影響が低減されることによる音質の向上”
が、本質的で大きなメリットだと思います。
実際、d&b Soundscape の開発者、Ralf Zuleeg氏は、ステレオシステムでのセンター以外の席の音の聞こえ方を改善することが開発のキッカケだと話しています。
更には、実際の楽器の位置とは異なる位置にオブジェクトをあえて配置したり、各オブジェクトのパラメータを細かく調整したりして、よりよい音や音響表現に至ることが期待されます。
多くの公演や会場にイマーシブオーディオシステムが採用されて、私達の音楽体験がもっと素晴らしいものになることを期待したいです。楽しみです。
]]>
そんな中、Web会議の相手が”大人数でマイクと画面を共有してる場合” に(私の場合は設計事務所や工事現場事務所)、相手側の音声が”聞こえにくい”、”途切れる”、”ノイズがうるさい”など、音が上手くないことが多くありました。そうなる理由を考えてみます。
”聞こえにくい”
大人数だと、Web会議でも対面会議の時と変わらずテーブルをコの字型などに配置して座ることが多く、マイクがディスプレイの位置やコの字に配置したテーブルの中心などに置かれます。大人数の側で発言し合うこともあるため自然な配置なのですが、マイクと大人数の参加者の距離が離れて、集音される声の音量が小さくなります。
しかし、その場の暗騒音(対象とする音声以外の雑音。空調騒音や屋外騒音や会議に関係ない人の話し声など。)の大きさは変わらないので、マイクで集音される音声と暗騒音との音量差が少なくなり(S/Nが低くなり)音声が聞こえにくくなります。
Web会議のソフトウェアにはマイク音量を自動調整する機能がありますが、暗騒音を変えずに音声だけを音量調整することはできません。自動音量調整の効果が期待できるのは、暗騒音が少なく静かな環境の場合のみです。
よってWeb会議では、マイクと参加者ができるだけ等しく近くなるように、テーブル配置から見直すと良いでしょう。マイクを増設できる場合はそれも考えられます。
”途切れる”
理由として、インターネット回線の状況が悪いことや、無線LANを使っている場合には電波状況が悪いことが考えられますが、それ以外に、PCやWeb会議ソフトウェア側の音声信号処理が悪さをしている場合も多いです。
マイクの自動音量調整機能は、話者の声量が小さい時には音量を上げ、声量が大きい時には音量を下げてくれる便利な機能ですが、誰かが話している最中に聴衆のくしゃみの音やドアがバタンと閉まる音や拍手など突発的な大きな音を検知すると、それを不要な騒音と判断してマイクを一定時間OFFにしたりします。そうするとリモート側ではその間、話者の声が聞こえなくなります。騒音が断続的にある場合には、その度に音声が”途切れる”ことになります。
そんため、暗騒音の条件が悪い場合には、マイクの自動音量調整機能の効き具合をむしろ弱めに変更もしくはOFFにして、室内の暗騒音を低減する工夫をする方が良いことがあります。
”様々なノイズ”
対面会議では当たり前に発生して、でもあまり気にならない様々な音が、Web会議ではリモート側にとってノイズになることが多くあります。
書類をめくる音や机とすれる音、PCのキーボードの打鍵音、マウスのクリック音、誰かが手の上で回していたペンがテーブルに落ちる音、癖でペンのノックをカチャカチャやる音、リモート側と会話していない人達の内輪の話し声、など。
これらの音はマイクで集音されると思いのほか目立って、連続的に聞こえていると、特にヘッドホンやイヤホンでは強いストレスを感じます。また、先に述べた自動音量調整によるトラブルの原因にもなりえます。
マイクに入る声の音量が十分に大きければ、上記のようなノイズの音量は相対的に小さくできます。この点からも、参加者とマイクが近くなるテーブル配置、マイク配置を検討するのが良いです。
また、これはリモート側でも同じで、特にPC本体に内蔵されているマイクは、卓上の書類の音やキーボードの打鍵音やマウスのクリック音などを自分が思う以上に大きく集音します。これは音が振動としてマイクに伝わる影響もあります。そのため、PCやテーブルに接触しないマイク付きイヤホンやヘッドセットなどを使う方が不快なノイズの影響を低減でき、声も大きくなるので有利です。
同時にPCやWeb会議ソフトウェアがもつハウリング自動抑制機能やエコーキャンセラ、ノイズキャンセリング機能も過大に使わずにすむため、急に電子的な音質になったり、その場にない電子的なノイズが発生することも抑えられます。
よって、できるだけPC内蔵マイクとスピーカでなく、イヤホンマイクやヘッドセットを使うのが良いです。
ちなみに最近、ポータブルオーディオ用イヤホン等にも採用されているノイズキャンセリング機能は、一般に安定走行している飛行機や車の中など騒音が定常的な状況では効果がありますが、突発的で変動する騒音には効果が低くなります。Web会議の場合、後者の条件が多いのではないでしょうか。
モニタリング
Web会議の特徴として、上記のような音声トラブルが自分たちの側で発生していることも、それによって相手側が聞きにくくなっていることも、自分たちでは気付けないことが挙げられます。自分たちの音が相手にどう聞こえているかがお互いに分からないから、聞こえにくいと伝えても中々適切に改善されないことを多く経験します。
そこで気づいたのですが、トラブルの起こりやすい大人数の側では、もう1台別のPCやタブレットでWeb会議に参加して誰かがモニターすれば良いのではないでしょうか。もちろん、追加のPCやタブレットはイヤホンで聞いてマイクはOFFにしておく必要があります(大人数で使っているシステムとハウリングしてしまうため)。こうして大人数の側でモニタリングすれば、音質・音量の良し悪しやトラブルの有無が自分たちの側で把握でき、適切な音の状況維持がしやすくなると思われます。
Web会議に限ったことではありませんが、自分が適切な音を出しているか、相手にどう聞こえているか、という事を自分の身だしなみと同じように意識したいと思います。
]]>
その模様はYouTubeでライブ配信されましたが、アーカイブされており、今日現在、どなたでも視聴頂けます。
私も当日は別件で見られず、翌日視聴しました。アーカイブのお陰で遠方でも当日都合が悪くても、自分の都合の良い時に見られるのでありがたいですね。しかも分割して見ることもできます。東京開催のみのセミナーや研修が多いので、COVID-19が落ち着いた後でも配信とアーカイブが標準になってもらえるとありがたいです。
セミナーの内容は勿論ですが、セミナーの進行自体が現段階での対策をしながらの舞台進行の実演、実例になっていて有意義に思いました。是非、お時間のある時にご覧ください。
セミナーの詳細と視聴はこちらの協会HPをご覧ください。
概 要(協会HPから引用)
第1部 各劇場などの感染防止ガイドラインの紹介と
そこから読み取る舞台音響スタッフの注意するポイント
◎JATET 音響部会⻑ ⻄村岩夫氏
「新型コロナウイルス感染防止のための安全手帳」
◎劇団四季 音響・音楽 担当副部⻑ 原英夫氏
「公演現場での感染防止対策、問題点」
◎(株)S.C.アライアンス 瀬谷正夫氏「会社での機材消毒に関しての検証」
◎神奈川芸術劇場 ⻄田祐子氏「劇場音響スタッフの感染防止対策、問題点」
◎東京都交響楽団ステージマネージャー 山野克朗氏
「東京都交響楽団の感染防止ガイドラインと除菌洗浄対策」
第2部 劇場の設備・機器の除菌洗浄方法の実演と体験
◎東京芸術劇場 石丸耕一氏 「劇場音響チーム除菌洗浄方法」
第3部 舞台技術者がおこなう配信技術
◎日本舞台音響家協会 石丸耕一、白石安紀、澤口敬一
]]>
ちなみに私が協力させて頂いた会場施設は、2月末に、2週間に渡り夜間作業だった音響調整と音響測定を無事終えて、出番を待ってます。なかなかの仕上がりと思います。
ホール等でスピーカが収納されている部分の開口(前面パネル)は、音を透過するクロスで仕上げられているものの、クロスを張る木枠を補強するための太い下地材も結構あると思います。
改修前のプロセニアムスピーカ開口部の例
(壁の裏側から見る)
右側の黒い箱がスピーカ(ウーハユニット)
同サイドスピーカ開口部の例
右側のグレーのものがスピーカ(ホーンユニット)
改修が計画されるホールのスピーカシステムは、ほとんどが20〜30年前のポイントソースタイプと思われます。
このタイプのスピーカは音を発する位置が点状なので、特に高音を発するホーン部分の前にさえ邪魔物が無ければ、致命的な音質の劣化は避けられます。
ところが、最近主流のラインアレイタイプのスピーカは、高音を発する部分が線状になっていて、かつそれを延長するように複数のスピーカを連結して用います。連結したスピーカの上から下まで切れ目なく発音部が連続する事で、ラインアレイタイプの特徴である鋭い指向性や遠達性が得られるのです。
と言う事は、ラインアレイタイプのスピーカに更新しても、開口部の下地材が以前のままでは、以前に増して客席に格子状の音の影ができ障害となってしまいます。これではせっかくの改修も片手落ちと言わざるを得ません。
改修後のプロセニアムスピーカ開口部の例
(上の写真と同じホール)
右側の円弧上に連結された黒い箱がスピーカ
(ラインアレイタイプ)
縦桟を中止し、かつスピーカ前は横桟も細くしている
改修後のサイドスピーカ開口部の例
(上の写真と同じホール)
右側の円弧上に連結された黒い箱がスピーカ
(ラインアレイタイプ)
スピーカ前の桟を中止
観客が触れられる位置のため、クロスを突き破らないようにワイヤーメッシュを入れている
音響設備の改修ではとかく音響設備だけが注目されがちですが、実は音響的な品質は、音響設備だけでなく建築的な要素にも大きく影響されるのです。
スピーカ前面のクロスや桟以外に、スピーカ収納スペースの吸音が十分かどうかや、そもそもスピーカ用開口が客席全体へ音を届けるのに十分な寸法かどうかといった根本的な点もあります。
スピーカの改修計画の際には、新しいスピーカの能力を発揮させるためにも、スピーカ前面のパネルをはじめ建築的な部分についても忘れずに改修検討してください。
]]>
サイドスピーカ
上からサブウーハ、遠向き、中向き、近向き
今回はアンプにPowersoft社のOttocanaliをチョイスして、しかも200Vで鳴らしてます。(今までは100V駆動が普通)
200Vで鳴らしたらいつもよりエネルギーに満ち溢れ、肌艶もよくなった感じで、「おっ、いいじゃん!」な仕上がりになりました。
アンプを200V駆動するのは音が良いだけじゃなく、電源ケーブルも細く出来たり電圧降下にも有利だったりで、PAカンパニーではよくやられていますが、公共ホールや劇場などの固定設備での採用は最近見られるようになったばかりです。
これからのスタンダードでしょうね。
プロセニアムスピーカ
上から遠向き、中向き、近向き
視聴機材
視聴は普段私が仕事(現場音響測定)に使用しているノートPCとオーディオIFを準備して、ヘッドホンで聞きました。
ドリンクを飲みながら気軽に視聴できるは配信のいいところですね。(ブドウの微炭酸)
視聴の様子
ところでタイトルにある Binaural(バイノーラル)ってご存知ですか?
バイノーラルとは英語で「両耳の」という意味の形容詞です。そして、バイノーラル録音とは、人間の頭部と両耳による音響効果を含めて録音しようと工夫されたマイクロホンによって、音をステレオ録音する方法です。音響の研究分野では古くから用いられていたのですが、最近、コンシューマ市場でも注目されてきています。
LURUHALLでは写真のように人頭の形状をもつダミーヘッド・マイクロホンで録音していました。左右の鼓膜位置にマイクロホンが内蔵されています。これはヘッドホンで聞いた方がバイノーラル効果がより分かるんです。
手前の頭だけの黒い人形がダミーヘッド・マイクロホン。
耳たぶや鼻もあります。
途中、演奏者が楽器を鳴らしながらダミーヘッドの周りをまわってくれたので、ヘッドホンで聞いていた視聴者の方はバイノーラルの効果がよく分かったと思います。面白い演出でした。
配信は思っていた以上にS/Nも音質も良く楽しめました。これで演奏者の動きと音のズレが無くなると、ノリが感じられるようになって更にいいですね。
あと、拍手が届けられないので、公演中に観てる方がコメント入れられて、出演者が最後にでもそれを見られたら、リモートでも観客の反応が分かっていいのでは?と思いました。アンケート的なものでもいいですし。
なんて色々勉強になったBinaural LIVE!でした。演奏者のロビンさんとホール支配人・録音エンジニアの田口さん、スタッフの皆さんにブラボー!
]]>
ダウンロードはこちら
これは主に劇場等の音響スタッフを対象に、マイクロホンやヘッドセット、音響設備機器などの消毒方法をはじめ、出演者と接触する場合の留意事項や作業形態別の留意事項など、舞台を運用するにあたりCOVID-19感染防止の観点から守るべき留意事項がまとめられたものです。
なお、対策に関してまだ十分な情報がない点や未確認な点がある状態ですが、現在分かっている情報を早急に公表することが重要との判断から、β版として公表されており、新しい情報が分かり次第、内容が更新されています。ぜひ、定期的にご確認ください。
また、有効な対策情報をお持ちの方は、私にでもJATETにでもお知らせ頂ければ幸いです。
安全に舞台公演が開催できるようにみんなで頑張りましょう。
]]>
日本建築学会環境基準
AIJES-S0001-2020
表紙
今回の改定では、音響性能の推奨値については初版から変更ありません。
主な変更点は以下の通りです。
・保育施設の音環境に対する規準の追加(乳幼児の保育室や学童保育施設を含む)
・木造校舎に関する設計指針の追加
・鉄骨造校舎に関する設計指針の追加
・特別な支援を必要とする子どもの学習環境に関する設計指針の追加
・乳幼児の保育空間に関する設計指針の追加
初版では小学校、中学校、高等学校を対象としていましたが、最近の社会情勢を反映して、乳幼児の保育や学童保育などにも対象範囲が広がっています。また、木造と鉄骨造を追加し、最近の学校建築の動向も反映した内容となっています。
その他、細かいところで情報の追加や見直し、最新規格への対応などが盛り込まれています。
電気音響設備に関する変更点は以下通りです。
・マイクロホン毎の音質補正が可能なシステムを推奨
(ハンドマイクとタイピンマイクを個別にゲイン・音質調整できるように)
・動作特性の測定法として、劇場演出空間技術協会編「劇場等演出空間における電気音響設備動作特性の測定方法 JATET-S-6010:2016」を参照
・標準的なシステム構成例にエアモニターマイクを追加
と、ここでちょっと話が脱線(でも私的には超重要)しますが...
上記のなかで、マイクロホン毎のイコライジングはとても重要なポイントです。
例えばワイヤレスマイクのハンドマイクとタイピンマイクでは、構造も感度も口元からの距離も全く異なるので、個別に調整が必要になることは容易に理解できます。
ですが、学校等を対象にした業務用オーディオミキサーでこれが可能な製品はほとんどありません。理由は「利用者(先生や生徒)が使えないから」のようですが、納入業者がハウリングや音質に対して適切に調整して納入すれば、利用者が調整をする必要はありません。それなのにマイク毎の調整機能が実装されないのは、実は「利用者」ではなく「現場に納入する業者」が調整・設定できないからだと思われます。
ここから、音響設備は明瞭な音を提供することが目的なのに、肝心の音のクオリティには無関心で(音が出ればOKと判断)、機器だけ納入して終わっている状況が目に浮かびます。学校等の音響設備のほとんどが、音に知識や技術力のない業者に発注されているという現実です。
納入業者の方々には、音にも意識を向けて頂き、音の知識や技術の向上に力を注いていただきたいと思います。
学校側は、機材だけではなく「よい音」を提供してくれるような納入業者を選定するようにして頂きたいと思います。
そして、機器メーカには、利用者(先生や生徒)よりも納入業者を客と見るのではなく、明瞭な音が提供できる機器を供給いただくとともに、良い音を実現するための機器の使い方や調整方法を納入業者に指導するようにして頂きたいと思います。
海外メーカには、自社製品によるシステムのクオリティを維持するために、メーカが行う研修などを受けて認可した業者にのみ、自社製品の施工を許可あるいは推奨しているメーカもあります。
販売先を広げて多売の可能性を維持しあとは納入業者まかせという思考ではなく、納入業者を限定しても共に自社製品が納入されたシステムのクオリティを高く維持し顧客満足度を高めることで販売と価格とブランド力の維持を図ることを重視する思考です。
日本のメーカは是非見習ってほしいものです。
また話が少し派生しますが、
学校等に納入されるワイヤレスマイク装置にはかならずハンドマイクとタイピンマイクがありますよね。だったら受信器に予めハンドマイク用とタイピンマイク用の基本的なゲイン・イコライザ・リミッタ設定などを組み込んで、現場に応じて選択可能なったらいいですよね。そうすれば、マイク入力にイコライザがなく古いアナログのオーディオミキサーでも、新しくても適応性のない選択式イコライザしかないデジタルのオーディオミキサーでも、ハンドとタイピンに適切な最低限の音質補正を受信機で設定できます。
加えてユーザーEQもあって、会場の音響特性に応じてハウリング制御用のノッチフィルタが入れられたりすれば、とりあえずオーディオミキサーを選ばずに適切な音質が提供できるはずです。昨今、DSPチップはとても安価だそうです。そんな気の利いた製品を出す国内メーカはないものだろうか。
もうひとつ。
オーディオミキサーとパワーアンプの間に音質補正用のシグナル・プロセッサが導入されているシステムの場合、プロセッサの入出力にワイヤレスマイク分の空きがあれば、それをマイク・イコライジングに活用することもできます。
ワイヤレスマイク受信機のラインレベル出力をプロセッサに通して必要なイコライジングをしてオーディオミキサーに入れる。やや荒業ではありますが、もともと多チャンネルのプロセッサを入れる予定であれば、マイク本数分の入出力を追加することでコストアップも低く抑えられるかと思います。
と、気が付けば脱線話の方が長くなってしまいましたが、それくらいマイク毎のイコライジングが重要ってことでご容赦ください。
その重要なことが学会の規準・設計指針に書かれているわけですから、国内メーカ、納入業者、設計者の皆さん、それぞれの立場で考慮して頂きたいです。
子どもたちが良い音環境で学習活動ができるように、日本建築学会の学校施設の音環境保全規準・設計指針の改定版、是非、購入して設計に生かしてください。
※関連記事「学校体育館の拡声の現状」はこちら
※学校施設の音環境保全規準・設計指針 2008年の初版に関する記事はこちら
]]>
ちらし
その内容はなんと、兵庫県立芸術文化センターと札幌の札幌文化芸術劇場hitaru(昨秋オープン)と小倉の北九州芸術劇場、この日本の南北に1,500km離れた3劇場をネットワークで繋ぎ、各劇場に控えるパーフォーマー(兵庫:兵庫県立高砂高校ジャズバンド部、札幌:北海道札幌国際情報高校吹奏楽部、北九州:北九州市立高校ダンス部)がネットーワークを介してセッションするという試みです!
一昨年の同セミナーでは、兵庫県立芸術文化センター内の別空間(大ホール舞台と同舞台裏とリハーサル室)をネットワークで繋いだセッションを試行していましたが、今年は別空間の距離がいっきに日本規模に拡張されるようです。
複数の劇場間での連携公演への試行がどうなるのか、非常に楽しみです。
また、もう一つのトピックに「親子室」の見直し?新たな使い方?の試案もあるようです。
どなたでも無料(要申込)で参加できますので、興味のある方ぜひご参集ください。
名称: 兵庫県立芸術文化センター/ひょうごT2 第14回 舞台技術セミナー
日時: 2019年12月12日(木) 13時開場(ロビー展示有)、14時開演、18時半閉会
場所: 兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
費用: 無料
定員: 500名
申込: ※事前申し込み必要(当日受付も可)
※申し込み方法など詳細は、兵庫県立芸術文化センターHPを参照してください。
]]>