先日、天気がいいので散歩していたら球形スピーカを発見しました。

 

 アーケードの屋根下に丸い物体
 

 赤道の南半球側にホーンが並ぶ
 

 球体の赤道の南半球側にホーンが並んでいて360°全方向に音を放射するようになっています。ホーンが南半球側にあるので音を斜め下向き放射していると考えられます。吊下げて使うためですね。大分前にカタログで見たことはありましたが、実際に使われているのを見るのは初めてでした。結構年季が入っていましたがBGMを綺麗に鳴らしていました。

 

 そういえば以前、別の公園でこんな形の全方向スピーカを見かけたことがありました。

 

 木陰にあった変った形のスピーカ
 

 こちらは下向きにしたホーンスピーカにもう一つホーン状の部品を差し込んで音の進行方向を90°曲げ、水平360°全方向に拡がるようにしたものと想像されます。音は斜め下ではなく水平方向に拡がるように設計されているようです。ということは非常用でしょうか。残念ながら(?)これは鳴っていませんでした。

 

 こんなところに目が行くのはまさに職業病でしょう。でも見つけると意外に楽しいものです。皆さんも良かったらどうぞ。笑

 

 InterBEEでは昨年2016年も最新スピーカのデモが開催されました。会場のイベントホールでは、最新スピーカたちのデモを当時の最新スピーカが天井から静かに見守っていました。

 

 天井のセンタークラスタースピーカ
 

 当時の最新スピーカ
 

 「どれ位の人がこれを見るかなあ。高域ホーンの大きさ、低域ユニットもホーンロード、その数と配置を見ると、どれだけ真面目に計画していたかが分かります。今はどうだろうか?」と何気なくFacebookに投稿したところ、思いもよらずいろいろな方からコメントが入りました。

 

「高音域ホーンでエリアをカバーし、低音域を付け足すシステム。低音域と言ってもホーンロードがかかるのはせいぜい200Hz以上、ホーンロードがかかって能率が上がった分、その下の帯域は聞きにくくなる。おまけに低音域SPが引っ込んでいる分ホーン帯域とのつながりが悪い。このシステムが有効なのは英語圏の言語と思います。日本語はもっと低音域から造っていかないと。かつて苦労させられました。」(T.U.氏)

 

「私も同じ思いで見てました。何と言っても自分の原点ですから。」(A.M.氏)

 

「私も納入させて頂いた頃を、天井見て想い出しておりました。」(M.T.氏)

 

「苦労したんですよ、当事者なもんで。これ施工した時期はまだ手描きの時代です。ホーンは全て計算上同心点から振り出しています。構造物は野田市の鉄鋼屋さんで作ってもらい、細かいパーツは横浜和田町の金物屋さんで作ってもらいました。構造計算もしっかり行ってますよ。当然僕なんかが行ったら信用されませんから、一級建築士さんにお願いしました。ちゃんと計算書を提出しました。」(K.M.氏)

 

「単なる三面図もノイローゼになりそうになりながら紙と格闘してた時代でしたな(遠い目)」(H.N.氏)

 

「私も見上げてました。これを今のデジタルチャンデバでSmaartで判った人がチューニングすると最高です(≧∇≦)」(H.I.氏)

 

 当時の最新スピーカには多くの方が関わり、多くの思いが詰まっていました。

 

 通常の映画館の音響クオリティとは一線を画す「極上音響」「極上爆音」上映で話題の立川シネマシティで、ようやく極上音響上映を体験しました。

 

  立川シネマシティの「極上音響」は、スクリーンの音響設備をベテランの音響家(サウンドシステム・チューナー)によって上映作品ひとつひとつに最適な音響調整を施した上映です。「極上爆音」はさらに重低音を中心に通常よりも音量を大きめに再生した迫力重視の上映。作品の音響効果を最大限に引き出し、作品への没入感と感情移入をより高めようとする立川独自の取り組みです。どんなに素晴らしい食材でも、それを素晴らしい料理にするにはシェフが重要なのです。

 

 Meyer Sound社のスピーカシステムが導入されたスクリーン
 

 作品は「君の名は。」を。あえてアニメーションを選んでみました。

 

 印象は、映画に作り込まれた音の全てが再現されているように感じました。声に込められた感情に加えて、音による空間の広がりと奥行きの表現、そしてそれとリンクした映像のフォーカスとボケ具合、それらが不思議なリアリティを作り出していきます。また、このタイミングでこの曲がこの音量でカットインするのか、という演出にくすぐられます。映画に込められた楽しみを余すことなく感じられ、監督や制作者はこういう絵と音で観客を楽しませ感動させようとしていたんだと気づきます。

 

 最近、映像と音のコラボレーションを売り文句にしたエンターテイメントがもてはやされていますが、もっと前から映画はそれをやっていたのです。が、それを十分に再現出来る映画館が無かったのでは?とつくづく思います。日本のアニメーションは特に素晴らしく作り込まれています。今回それを再認識しました。かねてから映画館の音に疑問だったので、立川のような映画館がもっと沢山できないと折角の作品の感動が伝わりきらずもったいない!と強く思います。

 

 ちなみに別の機会には極上爆音上映でこの映画も楽しみました。

 

  
 

※極上音響のスケジュールについては是非映画館のHPをチェック下さい。

 http://cinemacity.co.jp/

 昨秋の雨上がりの午後、響きの豊かなチャペルでパイプオルガンとヴァイオリンという珍しい組合せの演奏を聴きました。会場は恵泉女学園大学のチャペル(東京都多摩市)で、演奏はオルガン:大塚直哉氏、ヴァイオリン:桐山建志氏です。

 

 プログラム
 

 客席後方2階のオルガンからは、感情を強く内に抱えつつも離れた舞台で演奏するヴァイオリンを支えるように自制のきいた音が漂います。そしてオルガンの音の上を華やかに踊るように舞台からヴァイオリンの音色が響きます。
 2つの楽器の距離と位置が立体感とコントラストを生み、今そこで生で演奏されているという臨場感と緊張感が心を刺激します。

 

 客席後方2階のパイプオルガン

 ライル兄弟オルガン製作所(オランダ)

 2002年完成、21ストップ
 

今ここでしか体験できない音楽を堪能しました。

 

 昨年9月のことになりますが、SCアライアンス社の50周年記念パーティーに出席させて頂きました。

 

 会場の様子
 

 来賓の方々の挨拶で、「電気音響の導入で、それまで出来なかったあんな表現やこんな演出ができるようになった」と当時のワクワクな思い出を語られるのを聞いて、今それが当たり前の時代だからこそ、元の生音や肉声という素材そのものとそこに込められている感情や表現を改めて見つめて学ぶことが大切なのだと感じます。

 

 芝居の音響効果に始まったSCAだからこそ、出したい音や表現のイメージを持っているからこそ、成功されてきたように思います。

 

 創業者の八幡氏と歴代代表の方々 
 

 また、「良い機材を山ほど積んでも意味はなく、人材を育てることが大事だ」という祝辞にも強く同感です。パーティーに先だって開催されたBob McCarthy氏のセミナーにも共通点を感じます。

 

 スタッフロール
 

 勝手ながら有意義な時間をありがとうございました。50周年おめでとうございます。

 

 半年も前のことになりますが、サウンドシステムの音響調整に用いられる音響測定・分析ソフト「Meyer Sound SIM System」によるシステム最適化のパイオニアとして有名なBob McCarthy氏のサウンドシステムセミナーに参加しました。このセミナーはSIMの初期の頃から長きに渡りBob氏と交流のあるSCアライアンス社の50周年記念行事のひとつとして企画されました。

 

 セミナー会場の様子
 

 冒頭、Bob氏はSIMにまつわるエピソードを語りました。

 

 当初、システムの特性はピンクノイズなどの測定用音源を再生しなければ測定できなかったので、観客が入って本番が始まると、チューニング時から音が変化したのが耳で分かっても、それを測定により物理的に把握することができませんでした。それを把握する方法としてJohn Meyerg氏によりデュアル・チャンネルFFTアナライザーによる「音源に依存しない測定=Source Independent Measurement =SIM」システムが開発されました。

 

 SIMの効果を実感したMeyer氏やBob氏らは、この手法がすぐに業界のスタンダードになるだろうと考えていたそうです。それが今日のような普及までに20年もかかるとは想像さえしなかったそうです。当時、音楽的な経験を重視するミキサーやアーティストが、機械的なアナライザを受け入れなかったとのことでした。

 

 Bob氏は、客入り後の音の変化が会場全体に同様に起こっているのか局所的なのかを知りたいと考えていたそうです。そして初めて会場内に8本のマイクを設置した状態で本番を経験したのが、なんと1987年大阪城ホールでのユーミンのコンサートだそうです。これによりBob氏が何年も探っていた客入り後に生じる音の変化が局所的であることが確認され、その後のシステムデザインや最適化のアプローチにとても大きな役割を果たしたとのことでした。日本のユーミンのコンサートがそんな役割を果たしていたとはとても興味深いエピソードでした。

 

 Bob氏は、会場内に複数マイクを設置できたのは日本の観客のお行儀がいいお陰で大変感謝している、と付け加えました。笑

 

 貴重なセミナーテキスト
 

 さてセミナーですが、前半の話題はスピーカの「カバレージ」についてでした。1台のスピーカのカバレージと客席の関係、複数のスピーカによるカバレージの合成・・・。ポイントソースはもとより、ラインアレイの理論にも関連する音に共通の基本事項です。

 

 これらはシミュレーションソフトがなくても大まかに音場を把握できる基礎知識です。というよりも、まず基礎知識をベースに平面・断面的な音場を考えることが重要で、その次にそれをシミュレーションで3次元的かつ数値的に詳細に補完していくというのが本来の手順でしょう。音響シミュレーションが普及している現代のセミナーで、Bob氏が最初にカバレージの解説をされたことにとても共感しました。とかく何も考えずにいきなりシミュレーションで音圧分布だけ計算しはじめる人が増えつつあります。その前にソフトを使いこなすための音響知識に目を向けて欲しいものです。

 

 セミナー後半はサブウーハの指向性制御の理論と実験で、こちらも興味ある内容でした。

 

日本音響家協会 東日本支部主催の技術セミナー「楽器を知ろう」シリーズ、今回は「バイオリン」が取り上げられるそうです。

3/10(金) 13時〜17時 国立音大

興味のある方は協会HPをご確認の上お申し込み下さい。

来年、JATETフォーラム2016/17が東京(1月)と関西(2月)で開催されます。

 

JATETフォーラム2017 
テーマは「舞台技術の現状と今後の方向性」で、概要は以下の通りです。

 

■東京会場 ■関西会場

日時:1/30(月)〜31(火) 10:00開場

会場:座・高円寺2(杉並区)

 

日時:2/17(金) 10:00開場

会場:兵庫県立尼崎青少年創造劇場

  (ピッコロシアター)

1/30

 10:00〜    開場

 10:30〜12:30 音響部会

 13:30〜15:30 映像部会

 15:45〜17:45 シンポジウム

 18:00〜    懇親会

1/31

 10:00〜    開場

 10:30〜12:30 照明部会

 14:00〜15:30 機構部会

 15:45〜17:45 建築部会

2/17

 10:00〜    開場

 10:30〜12:30 照明部会

 14:00〜15:30 機構部会

 15:45〜17:45 建築部会

 

※関西会場は上記3部会のみ

 

 

 

 

 

音響は、東京会場の初日の最初10:30からで、オーディオ・ネットワークについて下記の3人の講師を迎えます。興味のある方は是非ご参加ください。

 

タイトル:「劇場等演出空間におけるオーディオ・ネットワークの現状

  講師: 栗山譲二氏(J.TESORI)

      阿部春雄氏(デジコム)

      菊地智彦氏(ヤマハサウンドシステム)

 

参加には事前申込み・入金が必要ですので、JATETのホームページで詳細をご確認の上、お申込みください。

申し込み締め切りは、東京会場:1/25、関西会場:2/13です。

InterBEE2016が11/16(水)〜18(金)に幕張メッセで開催されます。

 

今年もスピーカデモが行われるようですが、今年は「ポイントソース」、「小型ラインアレイ」、「中・大型ラインアレイ」という3カテゴリーに増え、11社から12製品がエントリーするようです。

 

全部聞くには1.5日間かかるので、今年も大変なイベントになりそうです。

 

詳細は下記をご確認ください。

http://www.inter-bee.com/ja/magazine/special/detail.php?magazine_id=3217

 

先日、音響設計を担当させていただいたSalon de l'Olivier(吹田市豊津町)でのコンサートに伺いました。演奏は、Miha Rogina (sax)、Sae Lee (pf)、白井奈緒美(sax、ゲスト)で、sax二人とピアノという中々聴けない構成でした。ソファーに座って聴くのも初めての経験でした。

 

 サロンの内観

(ピアノから客席をみる)
このサロンは、自宅のリビングでサロン・コンサートをしたいというオーナーのご要望によるもので、設計は関井徹建築設計事務所です。内装の主要な素材は決まっていましたので、天井の仕上げで低音と高音の吸音のバランスをとり、コテで模様をつけた漆喰塗りや天井の棹縁で反射を弱めることと音の散乱を図りました。

終演後、演奏の皆さんに音響が良いと言っていただきホッとしました。

 

別室の練習室も担当させて頂きました。こちらはピアノが置かれる練習室で、室を不正形にして定在波を抑えるとともに、3種類の吸音構造を組合せて低音と高音の吸音のバランスをとりました。練習のために響きは短いけれど反射は残すように意図したのですが、本番前に音出しした演奏者の皆さんからはストレスなく演奏できたとのコメントを頂きました。

 

 練習室の内装

(プライベートに関わらない壁上部〜天井部分のみ掲載します)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音響は主観的な部分が多分にあり、こちらの音響的な意図が必ずしも演奏者の意向にマッチするとは限らないので、演奏の方とお会いする時はいつもドキドキです。今日は安堵して帰路につくことができました。

 

Salon de l'Olivier

https://www.facebook.com/salon.de.l.olivier