今年1月のJATET技術展2016のセミナーで紹介・解説されたJATET規格「劇場等演出空間における音響設備動作特性の測定方法」JATET-S-6010:2016 が、JATETのホームページで購入できるようになっています。

 

測定法表紙 規格書の表紙
 

昨年末(2015.12.26)の本ブログでも紹介したとおり、この測定方法は、1985年に旧日本劇場技術協会から発行され参照されてきた「電気音響設備動作特性の測定方法 JITT A2001」を、現在の状況や技術、関連規格に応じて改訂したものです。

 

次の5つの測定項目について規定されています。

・伝送周波数特性

・音圧レベル分布

・安全拡声利得

・最大再生音圧レベル

・残留雑音レベル

 

旧規格の考え方を踏襲しつつも、現在の運用状況や音響技術や関連JIS規格等との適合のために、一部の測定項目では測定条件等を改めている部分もあります。音響設備設計や施工に関わる皆さんには関連の高い内容ですので、早急に入手されて、新規格の理解と普及にご協力をお願いします。

 

購入方法など詳細はJATETのホームページをご覧ください。

http://www.jatet.or.jp/publish/

 

5月のことですが、改修されたロームシアター京都(旧京都会館)の見学会に参加しました。

 

旧京都会館は、東京上野の東京文化会館でも知られる建築家、故前川國男氏の代表作のひとつです。老朽化と機能向上のために改修され、2016年1月にリニューアル・オープンしました。改修の基本設計・監修は香山壽夫氏(香山壽夫建築研究所)で、建築音響設計は永田音響設計が担当されています。

 

京都外観 ロームシアター京都の外観

(南西から見る)
メインホール(旧第1ホールを改築)は、4層のバルコニーをもつ2,005席で、音響反射板とオーケストラピットを有し、クラシックコンサートやオペラからポピュラーコンサートまで対応する多機能ホールとのことです。

 

京都メインホール メインホール
サウスホール(旧第2ホールを改修)は、1層のバルコニーをもつ716席です。花道や張出舞台の仮設が可能で、演劇などを指向しているようですが、音響反射板も有しており、多目的な利用が可能な中規模ホールとのことです。

 

京都ノースホール サウスホール
どちらのホールも舞台に立つと客席がとても近くに感じられるホールでした。出演者は気持ちが高揚するでしょう!

 

 

見学していて感じたのは、スピーカを隠さず機能を見せるデザインがされていることでした。

無理に隠すよりも素直に感じるのは私が音響家だからでしょうか?(笑)

音響設計の立場からは音に与える余計な影響がないので大歓迎です。

劇場を良く知っている人の設計はさすがだと感じます。

 

京都SP1 サウスホールのサイドスピーカ

(3層に分散して露出設置されています)
 

京都SP2 メインホールのサイドバルコニー天井のスピーカ

(掘り込みに半埋め込み設置)

 

 


 

(拡大)京都SP3


見学後には「モダニズム建築の保存改修について考える」というシンポジウムが開催されました。

 

京都シンポ シンポジウムの様子
そのなかでロームシアター京都の設計を担当された香山先生は、「保存改修は建物の手入れであり当たり前のこと。これが何故モダニズム建築では問題になるのか。」をテーマにお話しされました。その着眼点が流石で納得しました。

 

見学にシンポジウム、とても有意義な一日でした。

 

先日、電車に乗車中にかかってきた電話に、目的駅で下車してからホームで折り返しました。

 

ところが、列車の通過音や発車ベル音や案内放送でホームがとてもうるさくて、まともに電話が出来ません。案内放送は隣のホームのアナウンスまでがガンガン聞こえてきます。

 

騒音を避けようとホームの端まで移動してみたものの、残念ながらあまり効果ありませんでした。そういえば、駅ってホームに限らず、落ち着いて電話できるスペースがないですね。

駅(ホームの数)や時間帯が違えば変わるのでしょうが、でも、総じて騒々しいですよね。

 

以前ある駅で、当時小学校6年生の息子が「上りと下りのアナウンスが混ざって何言ってるのか全然わからないね」と言っていました。ごもっとも。案内、安全確保のためのアナウンスがこの状態で良いのでしょうか。

 

駅ホーム 
 

駅は元々、列車の走行音や雑踏など騒音が多い環境です。アナウンスをはじめとする注意喚起は、これらの騒音に負けないように大きな音で流すことが必要なのは理解できます。S/N比(Signal/Noise)を確保することは拡声の基本です。

 

しかし、拡声音を大きくする事だけを考えていては、騒音が増加したら、さらに大きな拡声音を発生させることになり、駅はやかましくなるばかり、悪循環です。

 

S/N比の確保には、シグナルを大きくするだけでなく、ノイズを低減することも重要です。

 

駅では、むしろ騒音を抑制することの方が効果的もしくは必須だと思われます。

しかし、利用者が多い主要駅を見ても、吸音処理はほとんど施されていないようです。

 

以前、学会の公共空間の音環境をテーマにしたセッションで、「駅の音環境改善のために吸音を提案するが、その必要性は理解されても、それが会社の利益に直結しないので採用されない」という話があったのを思いだします。

 

吸音により騒音レベルが下がれば、発車ベル音もアナウンスも隣のホームまで届くほどの大きさにする必要がなくなり、必要なアナウンスが必要なホームだけに明瞭に届けられ、聞き取りやすく、駅全体の音環境が快適になるでしょう。

 

そうしたら不幸な事故も減らせるのではないでしょうか。

 

先日、高校の文化祭を見に行きました。

 

娘の学年は体育館のステージでパフォーマンスをすることになっていました。

歌とダンスとショートコントなどを中心にした内容が多く、ミュージック・ステーション(音楽番組)をCMも含めて再現するなど趣向を凝らした組もありました。

 

ステージを見ていて、生徒たちのセリフやMC、そして伴奏の音楽がよく聞こえ、音質も良いことに気付きました。

 

ステージに近づいてみると、大型スピーカがスタンドで仮設されていました。しかもプロ用のEAW社製です。学校の先生や出入りの電気設備業者にはできないチョイスです。

 

おそらく、ステージ公演の音響操作をPA会社など音響のプロに委託していて、仮設スピーカやワイヤレスマイクなどはその会社の機材でしょう。もしくは、学校所有の機材だとすると、その選定や使用方法指導にはPA会社など音の専門家がアドバイスされていることでしょう。ナイス!

 

生徒たちのパフォーマンスがよい状態で観客に届けれられると → 観客が盛り上がる → それが演者にも伝わる → 演者も楽しめる、充実感・満足感が得られる → 次もやりたい・もっと盛り上げたいという向上心につながる、 という良い循環はだれにでも容易に想像できることでしょう。

 

これこそが教育の場でこのようなパフォーマンスを行う意味だと思います。

 

では、これが逆だったらどうでしょうか。

 

生徒たちのMCや台詞の内容が聞こえない → 観客がリアクションできない・パフォーマンスに集中しない → オチで笑わない、キメで盛り上がらない → 演者が手ごたえを感じられない → 演者は楽しめないどころか嫌になる → 頑張って練習したことに疑問をもつ・無駄に感じる → 興味を持てない・バカバカしく.... となることも、容易に想像できます。

教育としてパフォーマンスを生徒たちに実践させる意味がないどころか、逆効果でしょう。

 

でも、これに近い状況は身近な小学校〜高校で頻繁にあることです。台詞の途中で途切れるワイヤレスマイク、組体操やダンスの途中で止まる伴奏音楽、保護者会の先生の話の内容が聞き取れない体育館の音響設備など、経験ありませんか?

 

ですから、あの高校の先生方あるいは関係者方は、生徒に文化祭でパフォーマンスさせる目的をきちんと理解されていると感じ、嬉しく思いました。生徒たちも幸せです。

(ただし、本来それが当たり前ですが)

 

***

 

その後のある日、学校から保護者宛てのプリントが届きました。

 

内容は、同校の「体育館ステージでの行事や学習発表、イベント開催をサポートする機材の充実」のための「寄附」のお願いでした。(具体的には大型スクリーンとプロジェクタ、各種照明器具、音響設備等の演出関連装置の購入)

 

しかも、その寄附が「ふるさと納税」に該当するというのです。

 

これは兵庫県の「ふるさとひょうご寄附金」(ふるさと納税)の中の「県立学校環境充実応援プロジェクト」という寄附メニューで、県立学校が独自に使用目的を設定して寄付を募集する仕組みを活用したものでした。寄附金の使用目的は、部活動の支援費用、図書館の充実、エアコン費用など学校によって様々です。なるほど、こう言う方法もあるんだと感心しました。

 

それにしても娘の学校の寄附目的が演出機材だというのは何かの縁でしょうか。

 

プリントには次の一文がありました。

 

「〜これらの機器の拡充は、文化祭での演劇、シンポジウムや発表会などで、生徒たちのパフォーマンス力を大いに高めてくれるものと思います。ぜひ、このプロジェクトにご賛同いただきお力をお貸しください〜」

 

ふるさと納税を活用した方法も勿論ですが、何よりこの気持ちが嬉しいですね。もちろん協力します。

 

 

そういえば以前、小学校のPTAで学校への寄付品を決める際に、その年の運動会でトラブル続出だったワイヤレスマイクの更新を提案したのですが、「新しい紅白幕が欲しい」という校長先生の意見に一蹴されたことを思い出しました。(苦)

 

 

先日、日本音響家協会のセミナー「楽器を知ろう」SAX編を聞きに国立音大へ行きました。



SAXの発明者、アドルフ・サックスが実際に博覧会に出品したアルトサックス(!)やソプリロ (ソプラニーノより小さいサックス)、コントラバスサックスという貴重な楽器達の実物が見られて音が聞けるという、貴重な経験をしました。

セミナーでは実際に演奏音をFFT分析した結果がスクリーンに表示されました。サックスの音には整数倍音が豊富に含まれているのが良く分かりました。これがサックス独特の音色を作るんですね。

マイク位置による集音音質の違いや、同位置でのマイク種類による集音音質の違いも興味深いものでした。

最後に演奏された国立音大生によるサックス四重奏も素晴らしく、とても貴重な体験を沢山したセミナーでした。
3月1日、和歌山市に内装とサウンドシステムの音響設計を担当したアコースティック重視のホールが完成しました。



JAZZやクラシックを志向しながらも演歌やポップスなど幅広い演目で「音響のいい空間を」というクライアントの要望に応えた、33席の小さな、大人の、濃密な音楽空間です。

飲食店や医院が入居する建物の1テナントという小空間であり、防音と心地よい響きと多様な音楽・編成への為に、様々な音響的工夫をしています。

また、スピーカシステムはクライアントの意向もありd&b audiotechnikを採用しました。メイン:Yi7P、サブウーハ:Bi6、コロガシ:E8、アンプ:10Dという構成です。ミキサーはALLEN&HEATH Qu-16をチョイスしました。



ピアノ、バイオリン、JAZZトリオ&ヴォーカル、カラオケなどのテスト演奏を経てオープニングセレモニーを迎えました。また、初めてプレス発表にも出て、情報誌にも紹介されました。
http://www.nwn.jp/news/16031289_luru/



オープンから幾つかのコンサートが開催され、いずれも好評です。今後のコンサートスケジュールやホールの案内をはじめ、クライアントがホールに込めた思いも分かるホールのHPも是非ご覧下さい。
LURUHALLホームページ


今日の勉強。マイクを置く演台の天板が、軽く叩いた時に響くようだとその周波数でハウリングしやすいのは経験済みでしたが、写真のように囲われていても不意にハウリングしやすいことを学びました。右手のマイク下の白いシートは実験的に敷いた緩衝材です。たったこれだけでもマイクに入力される音が大分クリアになります。

5/24、池袋の東京芸術劇場で興味深い舞台技術セミナーが開催されます。



タイトルは「空間を聴く・空間をイメージする」で、舞台から客席までのひとつの空間に、音響のイメージを立体的に構築する「空間音響演出」について取り上げるとのこと。

詳細は下記HPをご覧下さい。先着150人、要事前登録、1,000円です。

http://www.geigeki.jp/performance/event143/

オペラ、ミュージカルでの実例紹介、興味深いですね。
また、最後のムービングスピーカも聞いてみたいです。

公益社団法人 劇場演出空間技術協会(JATET)が来年1月に、創立25周年を記念して技術展を開催します。

JATET技術展チラシ JATET技術展チラシ裏

技術展はセミナーと展示と施設見学で構成されます。日時と場所は以下の通りです。

セミナー: 1/26 (火) 〜 27 (水) @新国立劇場 中劇場
                 ※タイムテーブルはHP参照下さい。
展  示: 1/26 (火) 〜 28 (木) @全労済会館 新宿スペース・ゼロ
                 10:00〜18:00(最終日は〜16:00)
施設見学: 1/25 (月) 15:00〜 @新国立劇場
                (セミナー参加者のみ先着50名)

音響部会主催のセミナーは、1/26 (火) 10:30〜13:30(予定)になります。
このセミナーでは、この度JATETから発行する「劇場等演出空間における音響設備動作特性の測定方法」について解説されます。この測定方法は、1985年に旧日本劇場技術協会から発行され、今日まで参照されてきた「電気音響設備動作特性の測定方法 JITT A2001」を、現在の状況や技術、関連規格に応じて改訂したものです。劇場等の音響設備設計や施工に関わる皆さんには関連の高い内容です。

セミナーでは今回発行する「劇場等演出空間における音響設備動作特性の測定方法」の冊子が「音響ガイドライン」として販売され、それに沿って解説が行われますので、是非、音響ガイドライン付でお申込みください。今回ガイドラインを申し込むと特典として、測定用の音源信号や試聴用プログラムを収録したCD(JATET プロオーディオ音響技術CD)が付くそうです。

展示は、JATET加盟各社を中心に、最新の製品や技術が紹介されるようです。舞台機構、舞台照明、舞台音響、舞台映像が一堂に集まる展示会はとても貴重な機会で、こちらも楽しみです。

興味のある方は、JATETのHPをご確認頂き、是非お申込み下さい。
http://www.jatet.or.jp/exhibition/
 

国際放送機器展 InterBEE 2015 が来週11/18〜20に幕張メッセで開催されます。
昨年50回記念イベントとして行われたラインアレイスピーカのデモが好評だったので、今年は昨年よりも拡大して実施されるようです。

参加ブランドは13社。

会場は昨年と同じく幕張メッセ イベントホール
(入場ルートも同じで3ホールと4ホールの間の通路から入ります。昨年は私も含め迷った方が多かった)

日時はなんと3日間開催で、11/18・19は10:30〜19:30、11/20は10:30〜18:30です。
そうです、展示会より遅くまでやってます。

しかも今年は、各社スピーカの吊り込み作業〜音出し〜降ろし作業までもプレゼンするとのこと。設営のプレゼンは興味深いですが、一方で勘のいい方は想像されたかもしれませんが、今年は全社見るには最低2日間必要になります。
1日目と2日目14:30までで1順目、2日目14:30〜3日目が2順目です。

昨年以上に気力と体力が勝負です。

参加ブランドとタイムテーブルなど詳細は下記リンクでご確認ください。

INTER BEE ONLINE http://www.inter-bee.com/ja/about/conference/experience.html#cf01