先日試聴した2つのスピーカを紹介します。

alcons audio

コモドマッティーナ社で取り扱いを始めたalcons audio社(オランダ)のリボンドライバ・サウンドシステム。
3月に芝浦スタジオでの試聴会に行きました。
昨年のInterBEEで初紹介され、その際に気になった方も多いのではないでしょうか?
今回はラインアレイタイプもお目見えし、コンプレッションドライバとは違うリボンドライバの音質を堪能しました。

alcons 

Intellivox (JBL)

JBLから設備向けDSP内蔵パワードのラインアレイスピーカが発表され、4月に北とぴあでの発表会に行きました。
音の広がりや方向を制御するビーム・ステアリングを発展させて、音のビームの形を制御するビーム・シェイピング技術が特徴です。奥行が薄いのも特徴でしょうか。
(Harmanが買収したオランダ Duran Audio社のAxysブランドの製品です。)

intellivox 

ともに興味深い製品です。詳細は取扱各社にお問い合わせください。
※偶然にも2つともオランダでした。
 
先日、ドッジボール大会の応援に区立体育館へ行きました。

ここはたしか7〜8年前に、床とアリーナ階の壁を除いて、天井と観客席階の壁が全面有孔板に改修されました。

体育館1 体育館の内観。
 壁から天井の白い面がすべて有孔板(穴あき石膏ボード)です。
 青い筒状のものは空調ダクトです。

スピーカシステムも、ラインアレイ式スピーカがアリーナ面へのメインに採用され、観客席の通路上部にも16cm級ウーハと思われる余裕ある大きさの天井埋込型スピーカが多数設置され、アナウンスが非常によく聞き取れるようになりました。

体育館2 アリーナの壁に新設されたラインアレイ式のスピーカ(木の壁に設置された黒色で弓なりのもの)

体育館3 観客席通路の天井に埋め込まれたスピーカ
(四角い防球ガードがついているもの)
 スピーカ同士の間隔が近いことにも注目。
 有孔板も確認できます。

新築時からこれ位、音に気を使って欲しいものです。

吸音と落下防止改修

そしてこれに関連する最近の話題として、東日本大震災での天井材落下による被害を踏まえて促進されている耐震対策があります。
多くの施設で天井をはじめ落下の可能性がある部材を一切撤去する方法が採用されていますが、そこに注意が必要です。

この夏に私が相談を受けて伺った体育館は、当初ルーバー天井でその裏にグラスウール吸音材が敷き詰められていましたが、落下対策のためにグラスウールも含めた天井の一切を撤去し、露出した天井裏を壁はボード貼りし、屋根裏は綺麗に塗装していました。

・天井裏が露出したことで空間の容積が増えた
・グラスウール吸音材がなくなった
・多少の吸音性があった屋根裏材の木毛セメント板を塗装したことで吸音性が低下した

以上の3点が影響して、改修後の体育館の残響時間が約5秒!になっていました。

これは、2〜3mまでの距離なら肉声で会話ができますが、離れて声を張り上げて話すと響きが急に発生して会話に支障が生じはじめる程度です。それでもスポーツをするだけならまだ何とかなりますが、大会での挨拶や選手の呼出など音響設備を使用した際には非常に聞き取りにくく、同施設では大会運営に支障がでているとのことでした。

更にスピーカシステムの計画にも問題がありました。低予算のためか左右の観客席の上部に小型のスピーカが4台ずつしかなく、しかもそのスピーカがお互いにアリーナを挟んで反対側の観客席へ音を届けるように設置されていました。これでは各スピーカは対向する観客席まで届く大きな音量を出さなくてはならず、そんな向きにそんな音量を出したら残響だらけになって全く聞き取れない状況になるのは当然です。スピーカを設置する空間の響きのことなど全く考慮していない計画としか言えません。

現在は仮設のスピーカを使用して運用しているそうですが、根本的な解決にはなっていません。指定管理者は早急な改善を切望されていました。

いずれも改修計画時に音響のことを気にしていれば、ここまでの問題にならずに済んだはずです。このような問題が生じている施設が、潜在的に沢山あるように思います。
上記を参考にしていただき、是非、事前に音に対する配慮を検討して頂きたいと思います。
 
3月6日に日本音響家協会主催の 楽器を知ろうセミナー「マリンバ」編 が国立音楽大学のオーケストラスタジオで開催されました。

マリンバ1 マリンバが沢山並んだ会場の様子

マリンバ奏者で国立音楽大学非常勤講師の新谷祥子氏を迎え、第1部では、新谷さんからマリンバのルーツ、現代の楽器の説明、演奏方法などが紹介されました。

第2部は音響家の視点で、マリンバ演奏音の収録音に際し、マイク機種や位置の違いなどを実験した。新谷祥子氏による生演奏をマイク位置を変えて複数回録音し、それらを再生して比較試聴するという興味深い実験でした。

マリンバ2 マリンバへのマイキングの様子

ここで気付かされたことがありました。おそらく私を含め多くのリスナーが「いいな」と感じた音(マイク位置)は音が丸くで豊かな印象のものでしたが、演奏者の新谷さんが「私が聴いているマリンバの音にいちばん近い」と言われたのは、硬く衝撃的なキツイ音でした。

リスナーにとってのマリンバらしい音は楽器から離れた客席で聞こえる音であり、演奏者にとってのマリンバらしい音は演奏時の間近で聞こえる音であり、そこには必然的に差があるということ。考えれば当然のことですが、それに気づかずについ自分を基準にしていまうことは多々あることでしょう。

とても当然だけど重要なことに気付かせてもらいました。

マリンバ3 間近でマリンバを見られた休憩時間。

最後に、新谷祥子&アラヤマ☆リンバによるアンサンブル演奏を拝聴しました。
豊かな倍音にたっぷり浸って心地よい時間でした。

興味深いお話しと実験・体験と気づきが得られ、とても有意義なセミナーでした。
興味を持たれた方は日本音響家協会のHPもチェックされてはどうでしょうか。

(一社)日本音響家協会 http://www.seas.or.jp/

※会場となった国立音楽大学のオーケストラスタジオは、2011年に建替え竣工した新1号館にあるオーケストラ用のスタジオで、同館は他にオペラスタジオと合唱スタジオ、12室のアンサンブル室、108室のレッスン室などがある素晴らしい施設です。建築設計は(株)松田平田設計、音響設計は(株)永田音響設計です。
 
今年のFBSR会音響技術研究会は2015年1月27日〜28日に山形市民会館で行われました。

テーマは「定番&軽薄単省」〜定番マイクとは?オーディオの大敵「軽薄短小」に挑戦し「軽薄単省」〜です。
例年通り大ホール、小ホール、楽屋をフルに活用した実地的な研修会に、今年は90名弱の参加者があつまり貴重な時間を過ごしました。

1日目のテーマはマイク。前半はレコーディングエンジニアの行方洋一氏の貴重なお話しと、氏が試行錯誤して録音された音源の試聴がありました。「”音楽をつくるため”に手元にある限られた機材を最大限に”使いこなせ”」という氏のお話しがとても重要に感じます。

後半はスピーチ、民謡、ピアノ弾き語りを色々なマイクで聴き比べです。定番とされている機種の他、ビンテージのすごいマイクが揃いました。歴代のマイクの聴き比べでは、開発者が「次のマイクはこういう風にしよう」と考えて作ったのではないかと想像できるほどで、とても興味深い経験でした。

FBSR15-2 ピアノ弾き語りでのマイク試聴。

 ピアノ用のマイク入力にvo.マイクとの距離分のディレイを入れ、vo.マイクに被るピアノの音と揃えることで、ピアノの音がすっきりしvo.が前に出るようになる、といったテクニックの実践もありました。
FBSR15-1 民謡でのマイク聴き比べの様子。
 三味線の写真しか載せていませんが、唄い手のマイク聴き比べもしました。
FBSR15-3 集まったマイクたち。ビンテージも。

2日目の内容は小型軽量のシステムです。下記の製品などが紹介され、生バンド演奏のPAで音出し試聴が行われました。

スピーカ:Coda Audio社 G715-96、RCF社 EVOX5、K-array社 KR202+KMT18
ミキサー:Roland社 M-200i、ヤマハ社 CL1、MIDAS社 m32

FBSR15-4 軽薄短省システムの試聴の様子。

FBSR15-5 軽薄短省で紹介されたスピーカ。

以上、大ホールでの内容を紹介しましたが、小ホールでは同時進行で主に放送局や録音を中心にした研修が大ホールとリンクしながら進行されたのも例年通りです。

自主参加的で息の詰まらない音響技術研修会、次回(第25回)は平成28年1月26・27日開催予定です。
 
もう10ヶ月も前の今年の年明けのことになりますが、和太鼓奏者 林 英哲さんの演奏会を世田谷パブリックシアターで聴きました。

最近、身の回りで薄れ気味に感じる日本的なもの・・・和楽器の音、そして日本人らしい心・精神、ストイックな力などに溢れていて、沁みます。

英哲音楽会

忘れていたものを思い出した、そんな感じになりました。

来る3月3日(火)に彩の国さいたま芸術劇場にて「さいたま舞台技術フォーラム2015」が開催されます。

昨年は「ピアノ」を取り上げたフォーラムで、このブログでも内容を紹介しました。
今年は「舞台をとりまく電波状況〜携帯電話や電気製品のワイヤレス機器への影響〜」という、最近よく話題になるテーマです。

概 要 (劇場HPより)
 日時:2015年3月3日(火)
 会場:彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
 開場:13:00〜
 開講:13:30〜17:00
 参加費:無料
 申し込み:要申込み、定員になり次第締切。
      下記HPに従って申込みをしてください。

 http://www.saf.or.jp/arthall/information/detail/243

※上記は掲載時点の内容です。必ず上記HPをご覧になり最新情報をご確認ください。

幕張メッセで開催される InterBEE(国際放送機器展)が1ヶ月後に迫りました。
今年は50回目の節目とのことで、50回開催記念イベントが行われるようです。


・InterBEE EXPERIENCE(第1部)
 Line Array Speakers Demo & Presentation
 11/20(木) 10:30〜16:40,幕張メッセイベントホール,
 入場無料 (InterBEE2014への入場登録が必要なようです)
http://www.inter-bee.com/ja/about/conference/experience.html

 イベントホールの大空間を使って、9ブランドのラインアレイスピーカの”大音量”体験デモが行われるようです。大型のラインアレイスピーカを大空間で試聴できる機会は1ブランドだけでもなかなか無いので、9ブランドを聞き比べられるのはまたとないチャンスです。参加ブランドはデモ順に、d&b、TOA、JBL、Meyer、EAW、Martin、NEXO、L-Acoustics、CODA。1ブランド30分デモで10分のインターバル(お昼のMeyerとEAWの間だけ30分)とのこと。貴重な体験ですが長丁場なので気力と体力が心配です。

InterBEE EXPERIENCE(第2部)
 Anniversary Live Party
 11/20(木) 17:40〜19:40,幕張メッセイベントホール,
 入場無料 
(InterBEE2014への入場登録が必要なようです)
http://www.inter-bee.com/ja/about/conference/experience.html#party 
 
 第1部のラインアレイスピーカのデモに引き続いてライブ・パーティが行われるようです。HPによると「ライゾマティクス」共同制作の「映像・音響・照明・パフォーマンス」を融合した日本発・世界発信の「ライブエンターテインメント」(40分)が披露され、その後はパーティ(歓談?)とのこと。17:40〜なので展示会を見終わってからでも観られます。

InterBEE CONTENT FORUM
 音響シンポジウム「Audio Over IPの最新動向と応用」
 11/21(金) 13:30〜16:30,幕張メッセ国際会議場2階 国際会議室,
 入場無料(事前申し込みが必要なようです)
http://www.inter-bee.com/ja/about/conference/content_forum.html


 Audio Over IPをテーマに、沢口氏と亀川氏の司会進行で下記の発表が行われるようです。どれも興味深い内容です。
 「AES67規格の概要について」パイオニア/由雄氏
 「Ravennaの技術背景と応用例」マージング・テクノロジー/ブルルハート氏
 「SoundGridの技術背景と応用例」DiGiCo/ペイジ氏
 「RED-NETの技術背景と応用例」フォーカスライト/ホルト氏
 「レゾネッツの考えるAudio over IP技術」レゾネッツ/丹下氏

どのイベントも興味深いのですが、例年、展示会だけ見るのでも大変ですよね。メッセ周辺のホテルなどで特別展示をしているメーカもあるので、今年はこれらのイベントを全て見ようとすると3日間ガッツリ参加する必要がありそうです。

※上記は掲載時点での情報です。当日までに変更されるかもしれませんのでHPで確認してください。
 

海外で見かけた吸音仕上げ、最終回はその他編です。

フランクフルトホテル食堂 まずはフランクフルトのホテル(リーズナブルなランク)の食堂です。天井が有孔板(穴あき板)で吸音されています。梁の部分が無孔で、その中側が継ぎ目なく有孔板というようにデザインされています。
白色と明るい黄色の組み合わせはウィーンでもよく見かけた色合いです。

フランクフルトメッセ1 次はフランクフルト・メッセの展示ホールのひとつです。女性が寄りかかっている木質の壁は...。

フランクフルトメッセ1up 横スリットの奥に穴が開いた吸音板です。一見すると横スリットは分かりますが、穴までは気づきにくいです。有孔板と類似の吸音特性があります。
スリットと穴を組み合わせた吸音パネルはスイスのn'H Akustik + Design社のTOPAKUSTIKが知られていますが、これがそうか、類似製品かは不明です。
ちなみにTOPAKUSTIK製品は日本では(株)マデラで取り扱っています。

メディアセンター2 次はロンドンにあるローズ・クリケット・グラウンド。ここは「クリケットの聖地」とも呼ばれるクリケット競技場(収容人数28,000人)です。写真はその競技場のメディアセンターで、観客席より高い位置にありグラウンドを見渡せます。

メディアセンター1 天井がうすい水色のクロスを額縁貼りしたグラスウールボードで吸音されていました。このメディアセンターは有機的な形をしているのでグラスウールボードが採用されたのかもしれませんが、目地の暴れがちょっと気になります。また、どうやって取り付けているのかな。

ステープルセンター1 次はロサンゼルスのダウンタウンにあるステイプルズ・センターです。最大20,000人を収容し、バスケットボールやアイスホッケーなどのスポーツのほかコンサートにも使われる大規模アリーナです。

ステープルセンター1up1 その天井に多様されているのが吸音バナーと呼ばれる吸音材です。グラスウールなどの吸音材を薄いシートで包んだもので、写真のように天井から弛ませて吊り下げたり、そのまま垂直に吊り下げたりして使用します。

ステイプルズ1up3 左の写真は吸音バナーを垂直に吊り下げて使用している例で、壁の黒い短冊状のものが吸音バナーです。仕組みはとても単純な吸音バナーですが、日本には入ってきていないようで、類似の製品も見かけません。残念です。

ステイプルズ2 そして同センターでは、アリーナ上部に吊り下げられた大型映像装置の画面とチームマーク以外の全ての部位に、吸音バナーとおなじグラスウールをシートで覆った吸音仕上げがされています。黒いシートが薄いためにグラスウールの黄色がやや透けているのと、写真左下部分にシートのしわが見えることからそれが分かります。空間が巨大なので吸音を徹底していることが分かります。

以上、海外で見かけた吸音仕上げを3回に渡ってお届けしました。

日本でも欧米でも吸音の仕上げ方法は大差ないことが分かります。でも、欧米では吸音仕上げが日本より積極的に採用されているように感じます。日本ももう少し欧米の音環境に対する意識を見習ってよいのではと思います。
 
海外で見かけた吸音仕上げ、第2弾は鉄道編です。

キングスクロス駅1 まずはハリーポッターのホグワーツ行きの列車が出発する9と3/4番線で有名なロンドンのキングス・クロス駅です。再開発によって数年前に完成したエリアのようで、ドーム状の屋根を形成するフレームが印象的です。

キングスクロス駅1up このフレームの上の屋根面をズームアップしていくと、写真のようにパンチングメタルだと分かります。と言うことは、この裏にはグラスウールなどの吸音材が設置され吸音仕上げになっていることはほぼ間違いないでしょう。



キングスクロス駅2 ここもキングス・クロス駅で、最初の写真で左側に見える2階バルコニーの下の天井面です。目地が斜めに入ったパネル状の天井です。

キングスクロス駅2up これもよく見るとパンチングメタルです。しかも鋭角という難しい加工が施されています。

キングスクロス地下鉄駅 次は同じキングス・クロス駅ですが、こちらは地下鉄のホームです。シリンダー状の天井に長穴の有孔パネルが設置されています。ただ、他の地下鉄駅は吸音されていない所がほとんどなので、再開発の一環で改修されたのかもしれません。
 音と関係ありませんが、トンネルが小さいのが分かりますか。

セントパンクラス駅1 次はキングス・クロス駅のすぐ隣にあるセント・パンクラス駅です。ロンドンとパリを結ぶ国際特急ユーロスターの発着駅でもあります。

セントパンクラス駅1up 駅構内の天井はほとんど全面が写真のようなパンチングメタルのパネルとなっています。

セントパンクラス駅3 ここは同駅内のユーロスターのビジネス・ラウンジです。実は細長く狭い空間なのですが、大きな照明器具と鏡によって広がりを感じる上品な空間になっています。

セントパンクラス駅3up そしてここも天井はパンチングメタルのパネルです。上の写真のように緩くシリンダー状になっており、デザインのアクセントにもなっています。

セントパンクラス駅2 そして同駅のホーム。明りとり窓がある、のこぎり状の屋根になっています。

セントパンクラス駅2up その屋根もパンチングメタルのパネルでした。ここまで全部パンチングメタルです。イギリスではパンチングメタルは吸音の定番のようです。

メッセ駅1 次はドイツ、フランクフルトのメッセ駅です。この駅は、毎年ミュージック・メッセが開催されるフランクフルト・メッセの玄関駅です。プラットホームからエスカレータを上がると改札はなくてすぐメッセのエントランスです。

メッセ駅1up ここの天井は吸音性のパネルが貼りつけられていました。

ドイツ特急1 ここからは列車の車内です。まずはドイツの都市間を結ぶ特急列車。

ドイツ特急1up 天井の中央部のパネルに穴が開いていて、さりげなく吸音しています。パネルはプラスチック系のようです。

ウィーン鉄道 次はウィーン国際空港からウィーン市内へ向かう列車の車内です。

ウィーン鉄道up こちらはかなり存在感のある穴あきパネルです。こちらも材質はプラスチック系のようです。

viena tram そしてこれはウィーン市内のトラム(路面電車)の車内です。アップの写真がないので分かりにくいですが、他の列車と同じように天井の中央部が穴あきになっています。ここの材質はスチールのようです。

以上、鉄道編でした。
鉄道系ではパンチングメタルの採用率が高いようです。耐久性、メンテナンス性が理由ではないでしょうか。

次はその他編の予定です。
昨年から今年にかけて海外の展示会に行く機会が何度かありました。その道中で目についた吸音仕上げの実例を公共施設を中心に紹介します。

第1弾は、空港編です。


ボストン空港1 まずはボストンのローガン国際空港の国際線ターミナルのチェックインエリアです。全面的に木が使用されています。そして天井の板をよく見ると...

ボストン空港1up なんと有孔板(穴あき板)でした。スリットに設置されたスピーカを撮影しようとしてカメラでズームアップしてはじめて有孔板だと気づきました。そうでなければ有孔板とは全くわかりません。

LAX1 つぎはロサンゼルス国際空港の国際線ターミナルのチェックインカウンター。上部に木製のパネルがあしらわれ、無機質な空間にナチュラルなアクセントを与えています。

LAX1up これもよく見ると有孔板なのです。ボストン空港の天井に比べれば見て有孔板とわかる距離にありますが、それでも普通の方は全く気づかないし、見た目に違和感も感じないと思います。私は職業柄気づきましたが。

LAX2 同じくロサンゼルス国際空港の搭乗ロビーです。天井が白くて高い空間の中に、木調の庇が連続しています。そして、

LAx2up1 この木調の庇には微細穿孔板(MPP,Micro-Perforated Panel)が使用されていました。微細穿孔板はシートや薄い板に直径1mm以下の微細な穴を開けたもので、背後に空気層を持たせて設置することで吸音効果が得られます。庇は木に見せていましたが、木目調のシート張りのようです。
 微細穿孔板は一般の有孔板より意匠的な影響が少ないですが、吸音する周波数範囲が狭いので注意が必要です。

LAX2up2 一方、白く高い天井面はパンチングメタルです。天井が高いので穴はもちろん、目地さえ気づきません。

ウィーン国際空港1 つぎはヨーロッパに飛んで、ウィーン国際空港です。2012年にオープンしたという新しいターミナルで、モノトーンでモダンなデザインです。

ウィーン国際空港1up ここの天井面は照明器具を除いてすべてパンチングメタルのパネルになっていました。

ウィーン国際空港2 同じくウィーン国際空港。ここは先ほどの到着ゲートからバッゲージクライムに向かう通路です。天井一面がシームレスな有孔板になっています。この全面シームレス有孔板、ウィーンやドイツでは何度か見かけましたが、日本ではあまり好まれないですね。どうしてでしょう。

ウィーン国際空港2up1 点検口の周りはこんな風に穴をふさいでいます。

ウィーン国際空港2up2 照明器具の周りも点検口と同じディテールで仕上げられています。

ドゴール空港ラウンジ1 空港編の最後はシャルル・ド・ゴール国際空港のラウンジです。天井の木パネルはすべて有孔板です。日本では、有孔板=格好悪いというレッテルが貼られている感じがしますが、これをみて全然そんな風に感じません。

ドゴール空港ラウンジ2 これは同じラウンジの別エリア(上の写真の右側)ですが、木パネルでないグレーの天井部分はアコースティック・シーリング(日本でいう岩綿吸音板のようなもの)です。素材を変えていますが全面吸音仕上げになっています。

以上、空港編でした。
欧米でも有孔板が吸音仕上げのメジャーな材料のようです。天井を吸音処理するのは日本も同じですが、有孔板の使い方は日本より大胆で、しかも格好良いようです。

次は鉄道編の予定です。